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第330回 近代小売との有利な交渉の進め方

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「近代小売との有利な交渉の進め方」についてお話をしていきたいと思います。

今日の対象はFMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGの製造業がメインで、市場は新興国市場というふうにしたいと思います。

「近代小売との有利な交渉の進め方」に関してなんですが、新たに新規で市場に参入するときに、もちろん新興国市場の小売流通というのは、近代小売と伝統小売の2つの流通構造になっていて、まず近代小売をやっぱり獲るということはすごく重要で、近代小売を獲って引き続きというか、ほぼ同時並行的に伝統小売を攻略していかないと、新興国市場というのは儲かりません。なぜ近代小売がちょっと先かと言うと、伝統小売のオーナーは近代小売で取り扱っていないものはほぼ取扱いたがらないので、近代小売が先ですよと。ただ、多くの日本企業は、この近代小売を中途半端に攻略して、一方で伝統小売は重要と理解しながらもなかなかこっちに行けていないというのが今の現状なわけなんですけども。今日はこの伝統小売は一旦置いておいて、この近代小売を効果的に、有利な交渉をどうやって進めるかと。

なぜここで「有利」と言っているかと言うと、近代小売って、日本の近代小売と違ってリスティングフィーというのが掛かるんですよね。彼らは自分たち、製造業やメーカーの商品を置くのに棚代を取ってくるわけですよね。商品登録料を取ってくるわけですよね。四半期に1度、半強制的にプロモーションに参加させられてくるわけですよね。こういったことを考えると、とてつもないコストが掛かります。なので、近代小売にこれだけの導入費用を掛けたらどれだけ売ったって儲からないじゃんみたいな構造が出来上がってしまっている。ただ、近代小売に並べないとモノは売れないみたいな、こういう構造になっていて。その中で、いかにこのコストを圧縮して、効率的に有利に交渉を進めるかということはすごい重要で。じゃあね、コカ・コーラとかP&Gとかネスレが近代小売に日本企業と同じような導入費を払っているかと言ったら払ってないんですね。彼らはやっぱり、もうすでにあれだけのシェアを持っていると、彼らの商品を置いていないこと自体が近代小売にとっても恥ずべきことなので、当然それらのコストというのは安くなるし、免除されるしということになるわけなんですけども、日本企業の場合はなかなかそうはいかないので。

じゃあ、その中で新規で参入する中でどれだけコストを下げられるかということをまず1つ考えていきましょう。ここも、結局、ディストリビューターにお任せで、「これだけ予算取ったからあとはお願いね」みたいなスタンスでやっているメーカーも非常に多い。でも、これは中身を見なかったら、なかなかやっぱりうまく資金が使われているか、効率的に使われているかって、必ずしもそうじゃないわけですよね。こういったリスティングフィーをもうメーカーとしてはこれぐらいしか出せないから、あとは適当にやってくださいみたいなお願いをディストリビューターにして、実は全くリスティングフィーは掛かっていなくて、それが純粋にディトリビューターの利益になっているなんていうケースも往々にしてあるので、やっぱり自分たちでしっかりと理解をしていかなきゃいけないということで、今日のお話をしていきたいなというふうに思います。

早速スライドをお願いしたいんですが、FMCGなので、自分たちの商品を近代小売で売るということはスーパー系で売るのか、コンビニ系で売るのか、ドラッグストア系で売るのかということに分けられるわけなんですよね。まず最初にやるべきは、どの業態が最も自分たちの商品を販売するのに適しているかということを判断するということはすごく重要で。自分たちの商品って、スーパーで売れるんだっけ、コンビニで売れるんだっけ、ドラッグストアで売れるんだっけ、どこなんだ…。ドラッグストアと言っているのは、なぜならば、ドラッグストアってもう半分コンビニみたいになっているのでドラッグ系というふうに言っていますけども。どこなんですかと。大袋に入っているものはスーパーだし、小袋に分けられているものはコンビニだしとかって、いろんな特徴があるわけなんですけども。

例えば、コンビニですと。「日本でもコンビニで売れているし、他の国でもコンビニなので、うちの商品ってやっぱりコンビニなんだよね」ということであれば、まずスーパーとドラッグは後回しでコンビニにフォーカスするということがすごく重要なんですね。どの業態が最も適しているか。コンビニですと。「最低限のコストで最大の効果を出しましょう」と言っているので、最低限のコストにするためにはコンビニだけにフォーカスをするということが重要です。次に、じゃあ、どの小売が最も適しているのかということなんですが、これはどういうことを言っているかと言うと、コンビニでもA社、B社、C社、D社ってあるわけですよね。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップというふうにあったときに、自分たちはどのコンビニが一番いいんですかと言ったときに、その国で強弱がやっぱり違うわけですよね。そうすると、やっぱり一番ここを狙いましょう、セブンイレブンを狙いましょうというのを設定する、A社なんだと。まず、セブンから行く、A社ですということであれば、ほかのB、C、D社は放っておく、徹底的にA社ですと。この国で一番店舗数の多い、そしてまた首都圏の首都エリア、自分たちがターゲットとしようとしている所得層が住んでいる首都エリアのコンビニの数も圧倒的に多いA社ですと、セブンイレブンですということであれば、もうセブンイレブンだけにフォーカスをして。次にどの店舗が最もふさわしいかということなんですけど、店舗も1万店舗とか、何千店舗、1万店舗、2万店舗とあったら、どこの店舗を狙いますかということはすごく重要で、小さくやるということはすごい重要なんですよね。いきなり、じゃあ、1万店舗全部入れますとかっていうことではなくて、まずこの500店舗とか、まずこの1,000店舗、この店舗選びというのはすごく重要で。絶対に最初でこけちゃ駄目なんですよね。最初でこけちゃ駄目だから、絶対にこけない店舗を選ぶということはすごく重要なので、この店舗を決める。

どういうことかと言うと、業態も選んだ、小売も選んだ、店舗も選んだ、そして最初のこの500店舗とか1,000店舗で確実に実績を出すと、同じセブンイレブンのほかの店舗のオーナーさんが「私たちもやりたい」と、「その商品を売りたい。だって、そんなに売れているんだから」って。POSデータで全部データを取っていますから言ってくるわけですよね。そうすると、もう自然にセブンイレブンの全店舗に導入されるということになる。自然にセブンイレブンの全店舗に導入されたら、今度はB社、C社、D社のコンビニが、ローソン、ファミマ、ミニストップが「自分たちのコンビニでも置きたいよ」と言ってくるんですよ。なので、例えば最初の半年とか1年はセブン独占とかあげちゃったらいいんですよね。そしたら、セブンも積極的に取り扱ってくれるので。売れたタイミングで、今度はローソンであったり、ファミマだったり、ほかのコンビニ、ローカル系のコンビニもあるので。インドネシアだったら、アルファマートもあればインドマレットもあるので、そういったところに展開をしていく。インドネシアだったら、アルファかインドマレットか、どちらかと最初にやるということをしないと、そこが最強の2強で唯一の2強なので、そういうことになっちゃいますけど。中国なんかはローカル系のコンビニもあるので、そうやってまずコンビニ業態を制覇をして。

コンビニで売れているとなったら、今度はスーパーに持っていきやすいんですよね。スーパー用のパッケージに変えて売りたいんだということを言えば、リスティングフィーだって交渉の余地があるし、強制的なプロモだって交渉の余地があるし、たとえ同じプロモーションフィーをかけても、小売り側が何倍も大きく取り扱ってくれたり、有利に取り扱ってくれたりということが往々にしてあるので。いかにこの絞り込んだターゲットから段階的に成功体験を積み重ねて広げていくかということはすごい重要で。最初にドバっと無策でやって、とにかくたくさんに置くんだということじゃなくて、成功するための指標をしっかり設定して少ない店舗からグーッと広げていくということを心掛ける。そうすると、コストは最小限で。また最大の効果を出す上でも、これは予算がいくらでもあるんだったら最初からドーンと投資してドーンとやればいいですけど、そんな日本企業はほぼないので、FMCGの業界で。なので、段階を経て拡大させていくということが非常に適しているのではと思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。