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第331回 伝統小売で売るための2つの必須条件 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「伝統小売で売るための2つの必須条件」ということでお話をしていきたいと思います。

今日の話は、消費財、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーに対するお話になります。対象地域は、特にASEANにかかわらず新興国全般、伝統小売が存在しているということはもう新興国全体なので、その伝統小売で売るための2つの必須条件って、別にどの国であっても伝統小売がそこにあれば同じことなので、新興国全般というふうにしたおきたいと思います。

それでは、早速お話をしたいんですが。伝統小売で売るためには、今日これからお話する2つの必須条件が絶対に必要で。今まさに伝統小売でモノがなかなか売れていないという企業は、必ずこの2つの必須条件のどちらか、もしくは両方を外しているというふうに言っても過言ではないんじゃないかなというふうに思います。

まず、伝統小売が何なのか、よく分からない人はいないと思うので、伝統小売・近代小売の説明は割愛させていただきますが、1つは、伝統小売で売るたえには、必ず近代小売である程度の存在感を発揮するということが非常に重要で、もっと言うと、近代小売で売れ筋になるということが非常に重要です。なぜならば、伝統小売のオーナーは、パパママショップのオーナーは、自分たちのこの狭い面積の店舗にできる限り売れ筋の商品だけを置きたいんですよね。置いて何カ月も売れない、何週間も売れない、埃がかぶるようなものは置きたくない。なおかつ、賞味期限が切れて返品もできなくなってしまうようなものは置きたくない。基本、返品は無理なので、仕入れてしまったものが売れなくなってしまったら、それだけ無駄になってしまうので。確実に売れるもの、そして、できる限り速い頻度で売れていくもの、こういったものを伝統小売のオーナーは仕入れたがります。ということは、つまり、近代小売で売れ筋になっていないと、伝統小売のオーナーにどれだけお願いをしても、もちろんお涙頂戴でお願いをすれば1回ぐらいは置いてくれても、結局、継続的にそれが伝統小売に置き続けられるということにはつながりません。

ちょっと写真をお願いしたいんですが、1枚目の写真。伝統小売って、これはフィリピンの例ですけども、フィリピンの中でも住宅街にあるような、特に小さな伝統小売ですけど、こんなに小さなとこなんですよね。ちょっと大きな所に行ってもこんなような感じなので。これは伝統小売の中でもだいぶ規模が大きいですけども。2枚目、3枚目、そして、4枚目ということで。伝統小売の店の奥に女性の店員が2人いますけども、2人とか店員がいるということは、これはかなり規模の大きな伝統小売ですけども。かなり規模の大きな伝統小売でもこのレベルの大きさなので、基本的にはいかに近代小売で売れるか。売れないものを伝統小売に置いておく場所はないんですよね。ここが非常に重要です。だから、近代小売をまず先にやる、ちょっと先にやるということは、もうこれは正解なんですよね。近代小売で売れ筋にならないと伝統小売が扱ってくれないので、近代小売で絶対売りましょうねということです。

もう1つの必須絶対条件というのが、今、使いたい分だけを買える状態にするということがものすごく重要で。これはどういうことかと言うと、2枚目の写真をちょっと見てもらえますかね、また戻ってもらって。これ、右側のほうに袋の中にいっぱい小さなスナック菓子が入っていますけども、結局、スーパーに行ったらかなり大きな袋でポテトチップスなりスナック菓子って売られているわけなんですよね。でも、一方で伝統小売に行くと、それがギューッと小さくなって、今食べたい分だけ。例えば、ポテトチップスの1袋の袋を、ちょっと小腹が空いたからって全部、まあ食べますよという人もいるのかもしれないけど、なんか今ちょっと小腹が空いたから歩きながら食べたいとか、そういうニーズを満たさないといけない。そうすると、とにかく小分けにする、今使いたい分だけを買えるということはすごく重要で。例えば、シャンプーでも1回分がサシェットになって入っているとか、シャンプーあるかな。ちょっとこの3枚目の絵のこの上のほうのものなんて、奥はコーヒーですけど、手前側はおそらく石鹸とかシャンプーなので。もう今使いたい分だけを買えると。

新興国に行くと…。われわれは毎日シャンプーします。夜、毎日シャンプーします。なんなら朝もシャンプーして、朝シャンという言葉がある通り、朝もシャンプー、夜もシャンプーしているのかもしれませんが、新興国では毎日シャンプーをするということは必ずしもそうじゃないわけですよね。週に何回とか、今日はどこかに行くのでシャンプーをするとか、そうやって毎日シャンプーをしない。今使いたい分だけというニーズがやっぱりすごく多くて。日本だと、大きなプッシュ型のボトルで買って、なくなったときにないと困るので、洗面台の下にもう1本予備を入れておくとかっていう、こういう買い方をするんですけど。新興国って、いわゆる何が重要かって、個人のキャッシュフローが日本人ほどないわけなんですよね。この個人のキャッシュフローを考えるということはすごく重要で。そうすると、彼らは例えば月に2回給料日があるとかね、なんなら日払いでお金をもらっているという人たちだっているわけですよね。そうなってくると、彼らには、将来使うかもしれないようなものを前もって買っておくようなキャッシュフローはないわけですよ。そうすると、今使いたい分だけをいかに供給するかということが重要で。

これ、もう1つポイントなのが、言ったら、10個入りで買えばその分安い。1個入りにすることで10%20%高くても、それでもいいんですよね。実は、伝統小売よりも近代小売のほうが商品のグラムあたりの単価、1つあたりの単価って安いんですよ。伝統小売は高い。10%~20%高い。なぜならば、ばらにして売っていますから。例えば、たばこでも20本のたばこを1本から売っている。飴も20個入りの袋を買ってきて、それをばらで1個から売っている。ひどい、ひどいと言ったらあれですけど、本当に新興国の田舎のほうに行くと、ペットボトルの水を1口いくらって回し飲みをする。インドの田舎のほうに行ったらまだありますよね。1口いくらって。こういうことをしているので、どれだけ今使いたい分だけを使うか、小分けにするかということはすごく重要で、そのニーズを満たしてあげるということが大変重要なんですよね、

時間ですね。時間なので、今日はこれぐらいにしますけども、この2つが非常に重要です。1つは、近代小売で絶対的に売れるということ、もう1つがいかに今使いたい分だけを提供するかという、この2つが大変重要です。次回もう1回整理をしてお話をしますので、また次回、番組でお会いいたしましょう。