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第333回 伝統小売攻略のためのKPI その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「伝統小売攻略のためのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」というふうに訳されておりますが、KPIについてお話をしていきたいと思います。

今日のお話は、前回に引き続き、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)で、食品・飲料・菓子・日用品等の製造業が対象になります。展開地域は、伝統小売が存在するエリアであればどこでもいいので、ASEAN・インド・アフリカ・南米、どこでも構いません。伝統小売の存在している新興国全般というふうにしておきたいと思います。

では、早速なんですが、「伝統小売攻略のためのKPI」ということで、伝統小売を攻略するための2つの必須条件ということで、前回・前々回とお話しましたが、その条件がクリアできたら、じゃあ、次に実際にディストリビューション・チャネルをつくって、伝統小売を攻略をしていかないといけないわけですけど、そのときにどういうKPIを追っていったらいいんですかということなんですが。結論から言うと、ストアカバレッジとインストアマーケットシェア、この2つの軸を追いかけていくということが非常に重要です。この軸を追いかけられるディストリビューション・チャネル、ディストリビューション・ネットワークをつくるということが非常に重要で、なおかつドミナントでやっていくということがとてつもなく重要です。それを整理してお話をしていきますが。

まず用語の解説からしていきたいと思うんですけど、ストアカバレッジって何ですかと言うと、「間口」なんていうふうに私は言ったりもしますけども、自分たちの商品が配荷されている店舗数のことを間口数とかストアカバレッジ。いわゆる、例えばベトナムで50万店伝統小売があると言ったときに、自分たちはどれぐらいのストアカバレッジをカバーしているんですかと、何万店舗、10万店舗いっているんですか、15万店舗いっているんですか、どこまでカバレッジできているんですかという、これがストアカバレッジ。できる限り多くの伝統小売に置かない限り、シェアなんて上がらないし、売上なんて上がらないわけですよね。そうすると、もちろん利益は出ないということになるので、とにかくたくさんの店に置くということが重要です。そのたくさんの店に置くための販売チャネルが重要になるわけですから、そのKPIの1つの指標としては、ストアカバレッジをまず伸ばす、横軸に伸ばしていくということが1つ重要。図を見てもらったらいいかな。この図を見てください。ストアカバレッジを横に伸ばしていく。

もう1つは、置いただけでは全く意味がなくて、それがどれだけ売れるかということはすごく重要なんだけども、前回・前々回お話した通り、伝統小売で売るための2つの必須条件のうちの1つに、近代小売で売れ筋になるということを必須条件の1つとして入れたと思います。近代小売で売れていなければ、伝統小売ではそもそも取扱いは絶対されませんから。ということは、近代小売で売れているので、ある程度伝統小売でも売れるようになっているわけですよね。もちろん、前回・前々回の必須条件の2つ目で、伝統小売で売るためには今使いたい分だけ売れる状態にしなさいね、つまりは小分けにしなさいよというお話をしましたけども。近代小売で売れていて、なおかつ近代小売で売っているような10個入りとかじゃなくて、1個売りの小分けから売っているわけですから、ある程度インストアマーケットシェアというのは出るわけなんですよね。

インストアマーケットシェアって何かと言うと、1店舗あたりの売上であれば、インストアシェアとかっていうふうに言うと思うんですけど、インストアマーケットシェアというのは1店舗あたりの売上じゃなくて、1店舗のカテゴリー別の同一カテゴリー内の売上を、僕はインストアマーケットシェアというふうに言っていて。例えば、チョコレートだったら5社のチョコレートが並んでいます。その5社の中で自分たちが何回に1回選ばれているんですか。5回に1回なのか、4回に1回なのか、3回に1回なのか、そこのチョコレートのカテゴリーの中で戦っているんですよね。もしくは、菓子のカテゴリーの中で戦っているので、例えばチョコを買いに来ようと思って来た人が、やっぱりチョコじゃなくて飴を買おうということはあり得ます。なので、菓子というところのカテゴリーでは同一カテゴリーというふうに呼んでも構いません。ただ、一方で、チョコを買いにいこうと思った人が、チョコを買うのをやめて、やっぱり洗剤買おうというふうにはならないので、洗剤は競合じゃないわけなんですよね。そうすると、洗剤はインストアマーケットシェアの争いの中には出てこないので、いかに同一カテゴリー、それは細かくチョコならチョコでもいいですし、菓子なら菓子でもいいですし、同一のカテゴリー内のシェアがどうかということをしっかり見ていくということは重要で。
まあまあ、ややこしかったら1店舗あたりの売上がどう伸びているかというのは見ていってもいいですけど、細かく分析していくと、結局競合しているのは同一カテゴリー内だということに行き着くので、そうすると、最終的にはやっぱりインストアマーケットシェアをしっかり見ないと駄目だなということになるんですけどもね。ただ、最初からそうやってややこしいことを言うと、やりにくいので、1店舗あたりの売上がどれだけ縦に伸びるかと、もう1つはどれだけたくさんの店に配荷がされるかということの、この2つの軸を追いかけ続けるということが大変重要です。これをKPIに持っていく。

それ以外のことって、もう管理する必要がなくて、この伝統小売で売上を伸ばしていくということは、どれだけたくさんの伝統小売にものを置くかということと、その置いたものがどれだけ売れ続けるかという、この2軸しかないんですよね。これ以外のことがどれだけできていなくても、これだけができていたらずっと伝統小売で売れ続けるので、目的としている伝統小売の攻略というものは達成されるわけなんですよね。やるべきことは、どれだけストアカバレッジを伸ばすための強固な販売チャネルをつくろうって、ここに全経営資源を投下するわけですよね。もちろん置いただけでは売れなかったら困るので、どうやってインストアマーケットシェアを上げればいいんだ、置き場所、オーナーにここにおいてくれとお願いする、まだまだお涙頂戴の営業が伝統小売は通じますから、人海戦術でお願いをする。よく日本でも薬局へ行くと、大手メーカーの商品を買ったときに、こちらの商品だとジェネリックなので安くて容量も多い、より効果のあるものになりますけど、いかがですかって薬局の人が勧めてきますけど、まさにあれがそうですよね。インストアマーケットシェアを上げようと思って、いわゆる下請け薬品メーカーさん、宣伝・CMをやらないような、有名でないようなメーカーが同じようなものをつくって、アリナミンだってアリナミンの似たようなもの、頭痛薬も似たようなもの、胃薬も似たようなものがありますけど、それを薬局のオーナーさんに、これを売ってくれたらより利益率高く、利益額高く支払うから、ぜひ勧めてくれというようなことをやっているんでしょうね。そういうようなBTLを伝統小売でも展開するということをやっていく。そして、この2軸だけをしっかり伸ばしていく、それ以外のことというのはあまりシェアとか売上には直接関係してこないので、これが非常に重要です。

時間ですよね。もう1回、次回やりたいと思います。非常に重要なことなので、「その2」ということで次回また続きをお話させてください。今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。