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第341回 狙う市場で成功確率は大きく変わる その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、中小企業向けの話をしていきたいと思います。この番組で中小企業の話をしたことってそんなになかったと思うんですけど、もうほとんどなかったと思うんですけども、僕のクライアントも2割ぐらい中小企業なので、引き続き中小企業の話をしていきたいと思います。

ここで言う中小企業というのは、前回もお話しましたけども、売上数十億から数百億でEBITDAでしっかりと利益が出ているということを中小企業の定義としています。中堅企業に関しては、数百億後半から1,000億台を中堅企業と、それ以上は大企業と、1兆円を超えれば超大企業という定義でございます。

中小企業のお話で、今日の題材は、進出する市場で成功確率が格段に変わりますよというお話です。中小企業の海外展開を見ていると、なぜこの国を選択したのかなと、もっと別の国を選択していたらこの会社はきっと成功していたのになというようなことをよく見ます。この国を選択したから失敗したけど、実はこの国を先にやっておけば、ここで成功して、その成功体験とか勝ちの法則を使って、この国もゆくゆくは成功できたのになという例がかなりあるんですよね。また、この国に今の中小企業の経営資源のレベルで行っても絶対に成功しないよねということが最初から分かっているにもかかわらず、当人たちは分かっていないので出てしまうというケースが本当に多くて、そこについてお話をしていきたいんですけども。

例えば、ASEANで言うと、今、ミャンマーは2020年の軍事クーデターの影響で、その後市場がなかなか難しくなってしまいましたが、その前までは市場としては成立をしていて。ミャンマーもいくつかミャンマーブームというのがあって、一番最近だと2012年ぐらいから始まった、2012、2013、2014ぐらいから、もう猫も杓子もミャンマーみたいな時代があって。もう安倍さんが「ミャンマー」と言ったので、グワーッと企業がミャンマーを向いた、日本企業がミャンマーを向いた時期がありました。当時、中小企業がさんざんミャンマーへ行ったんですけど、結局、じゃあ、成果が出たところってどこかありましたっけ?と言うと、もうほとんどない。それって当たり前で。ASEANというのは、例えば、ASEANを例に取ると3つに分けられるんですね、国が。1つは先進ASEANというSMT、シンガポール・マレーシア・タイというASEANの中でも本当に先進的な国ですよね。首都だけ取ってしまったら、タイもマレーシアも先進国ですから、シンガポールは淡路島ぐらいの小さい島なので、超先進国ですけども。これがまず先進ASEANとして存在、確立しています。次にVIP、ベトナム・インドネシア・フィリピンといういわゆる人口がベトナムで1億人弱、フィリピンで1億強、インドネシアで2.7億という、今ASEANの中で最も将来有望視されている人口爆発、中間層の爆発、若年層の拡大ということで非常に注目されている市場がVIPです。次がメコン経済圏。ミャンマー、カンボジア、ラオスという、こういう構成になっているわけですよね。その中で、ブルネイはちょっともう少し別格というか、違う市場として捉えておいたほうがいいと思うので、一旦外に置いておきますけど。この3エリアで分かれている中で、じゃあ、難易度が一番高いのってどこ?って言うと、やっぱりメコン経済圏なんですよね。なぜ難易度が高いかと言うと、あらゆることが整っていないからと。

中小企業の最大の特徴って何ですかと、中小企業を大企業と比べたときに何が一番違うんですかと言うと、経営資源の数と量と質なんですね。人・モノ・金・情報が大企業に比べて圧倒的に少ない。自分たちの少ない経営資源で戦わないといけない。じゃあ、大企業に比べて中小企業の勝っている部分って何かと言うと、それはもう、社長が即決即断できるので機動力ですよね。機動力、スピードは最大に勝っている。そうなったときに、やっぱりVIPでも成功していない、ベトナムで成功していない、タイで成功していない会社がなぜいきなり初のASEAN市場でミャンマーに行くんですかと。何かホテルを建てると、そこに内装で行くんですということであればいいですけど。ミャンマーは内装の事業者はだいぶ儲かったんですけども、そういうことであれば全然構わない。もしくは、キャッシュオンデリバリーなのか、キャッシュファーストで輸出をするということであればまったく構わないと思うんですけども。なかなかちょっと順番が違うよねと、本当にやるんだったらSMT→VIP→メコン経済圏という順番でやるので。

そういうケースが本当に多い。うちの会社にベトナム人の留学生のファン君が来たので、ベトナムを今やっていますとか、ちょっと意味分かりませんみたいな理由でベトナムを選んでいる企業もいるんですよね。そうではなくて、戦略的に考えたときに、自分たちの経営資源をどこにぶつければ成功確率が一番高いか、最大化するかということを考えて戦略を組んで行かないといけない。それがまさに参入戦略であって、中小企業がやる場合の一番大きな戦略なわけですね。特に現地に法人をつくるとか、現地に直接投資をするなんていうときは、やはり国選びというのはものすごく重要で。

輸出でやるという場合は、キャッシュオンデリバリーさえ守れば、先にモノを送るなんていうことは僕でさえやらないので、基本的にはキャッシュをしっかり受け取ってからモノを出すという、うちのクライアントは全部そうやっているので。サイトを持つとか、もうそんなのは全然今は考える必要はまったくないので。それであればリスクはないので、基本的にはキャッシュを払ってくれるところにモノを出すということが成立するわけですけども。

それでもやっぱり、さっき言ったSMT→VIP→メコン経済圏の順番で発注量というのは全然変わってくる。買う量が変わる。彼らが回せる資金が変わりますから、やっぱりそうやって選んでいくということは大変必要です。

今日は時間が来ちゃったので、また次回引き続き、この選択する、選ぶ国、市場で成功確率は格段に変わってきますよというお話をしていきたいと思います。

それでは、皆さん、また次回お会いいたしましょう。