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第351回 ディストリビューターの管理育成はシンプルに その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、お話をしていきたいと思います。今日のお話は「ディストリビューターの管理育成はシンプルに」ということでお話をしていきます。

もちろん今日も対象市場は新興国全般でございます。ASEANに限らず新興国全般。そして、対象企業の大きさなんですけど、もちろん大企業もですけども、若干、管理育成は企業の規模によってできることの程度が変わってきますので、中小企業でも十分にできる管理育成に少しフォーカスをしてお話をしていきたいなというふうに思います。

早速ですけども、スライドをお願いします。そもそも強固な販売チャネルをつくるということは、ディストリビューターを発掘選定して、そして、そのディストリビューターと契約交渉をして、そして、最後、管理育成をしないといけない。多くの日本の製造業は、このディストリビューターの発掘選定をして契約交渉まではやるんですけども、基本的に契約交渉がゴールであって、契約ができたらあとは放ったらかし。基本的には「自分たちはつくる人、売るのはあなたたち」ということで、任せて終わるというのが日系企業の大半の例でございます。

そのまま任せた結果どうなるかと言うと、ディストリビューターが非常に良いところであれば、相性が良くてうまくいくというケースも1割2割と。一方で、9割8割ぐらいの企業はやっぱり何かしら問題があって、何かしら現状のディストリビューターに不満を抱えている中進んでいるというケースが少なくないというのが実態かと思います。なぜそういうことになるかと言うと、この管理育成が大変重要ですよということになる。今日のお話は、この管理育成をいかにシンプルにやっていくかということが中心になるわけですけども。

少しおさらいとして、前回この番組でもお話しましたけど、発掘選定のところのポイントだけちょっとお話をして、発掘選定と契約交渉のポイントだけちょっとお話をしていくと、発掘選定と言うと、多くの企業が、今、手の届く選択肢の中からディストリビューターを決めてしまうということが起きるわけですよね。ディストリビューターってインダストリーごとに異なっているので、この業界はこのグループ、この業界はこのグループということで、インダストリーを横断してディストリビューションできるディストリビューターなんていうのはそうそういないわけですよね。だいたいインダストリーで固まっている。そうすると、今、手の届くところだけのディストリビューターの選択肢で決めてしまうと、もしかしたらもっと良いディストリビューターが手の届かないあっちのほうにいたのかもしれない、こっちのほうにいたのかもしれないということになるので、基本的にはこのディストリビューターの発掘選定というのは、自分たちが置かれているインダストリーのディストリビューターを全部収集して、それを縦に並べて絶対評価と相対評価で絞り込んでいくということが非常に重要。

絶対評価というのはどういうことかと言うと、自分たちが50億やりたいのに、売上が30億のディストリビューターと組んでも、これは一生50億はできないんですよね。なぜならば、ディストリビューターというのはキャッシュを回す商売です。売上が30億の会社が50億の仕入れをするというのはなかなか難しいので。もちろん一緒に成長していくという考え方もありますけども、やっぱり程度があるので、ある程度近くなければならないということがある。また、もしくは競合の商品を取り扱っているところは駄目とか、そういう絶対的な評価で消去していく、絞り込んでいく。最後、残った母集団を相対比較をすることで、相対評価をすることで選んでいくと。

最終的にこの相対評価のステージに入ったら、ディストリビューターってスキルセットとマインドセットで選定するんですけども、スキルセットというのは絶対評価のときに使うんですね。こういうスキルを持っていないといけない、こういうスキルがないといけないということで、ないところは全部消去していく。

最後、相対評価のステージになったときには、スキルセットよりも、私はマインドセットを評価軸にしていくことが大変多い。それはどういうことかと言うと、自分たちの商品を売るということに、そのディストリビューターのオーナーがどれだけの熱量で、どれだけの思いを感じてやっていこうとしているのか、それによってどれだけ投資を考えているか、どれだけそのあとの戦略を考えているかということが見えてくるんですよね。そこまでを発掘選定のところで引き出しながら、もう1回図をお願いします、この契約交渉になだれ込んでいくということをやらないといけない。

契約交渉というのは決して紙の上だけの問題じゃないんですね。マインドセットを最大限に高めていく。その中でもちろん守りの契約というのは日本の企業はしっかりしていますから、法務はどこもしっかりしている。一方で攻めの契約をしていかないといけない。たとえば、このエリアでは独占的なディストリビューター契約をするので、たとえば初年度、次年度、3年度、この目標をクリアしてくれと、最低買取額みたいなものを設定して、別に3年間の独占契約をしたっていいんですね。日本企業の場合は何かあったら困るから、事実上独占契約にもかかわらず、何かあったら困るから非独占にしておくとか、別に3年契約でもいいんだけども何かあったら困るから単年度契約にしておく。そんなことはまったく意味がなくて。ディストリビューターにとっては、できる限り長期で、できる限り独占が欲しい、これがディストリビューターです。なぜならば、それだけもらえれば、彼らも投資をするという判断ができるんですよね。自分たちの次のコアビジネスをつくるために、彼らも自分たちの資材、ほとんどがプライベートカンパニーですから、資材を投資して、自分たちの経営資源を投資して、将来の1つの大きな柱をつくっていく。そういうマインドにさせるためにはやっぱり独占契約だし、中期でその権利を与えていくということをすればいい。

じゃあ、プリンシパル側、メーカー側のリスクをどうやって防げばいいかと言うと、そこにはコミットメントをつけるんですよね。もちろんです。独占でなおかつ3年契約ということは、やっぱり初年度、次年度、3年度、最低どれだけ買うというコミットメント、目標数値と、最低買取額をしっかり決めて、これをクリアすれば、この3年契約の独占は継続し続けるんだと。一方で、もし最低買取額がクリアできなければ単年度に戻せばいい、非独占に戻せばいいということをすれば、結局、非独占の単年度契約を与えていることと同じなんですよね。こうやってうまく独占と複数年度契約を組み合わせることによって、どれだけディストリビューターのやる気を起こさせて、彼らの熱量を最大限に高めて、「よし、この商品をしっかり売っていこう」というマインドにさせるかということ、これは1つの非常に重要なテクニックなので、契約交渉のときにはそれをしっかりやると。

本題の管理育成になるわけなんですけども、すみません、私の話が長過ぎて時間が来てしまいましたので、今日はこれぐらいにして、また次回、管理育成に移っていきたいと思います。

森辺一樹(以下、森辺):それでは今日はこれぐらいにして、終わりたいと思います。
今日のこの放送が今年最後、年内最後、2021年最後の放送になります。皆さん、本当にこの1年、『SPYDER CHANNEL』をご覧いただきまして誠にありがとうございます。また、来年も引き続き、この『SPYDER CHANNEL』を良いものにしていきたいと思っております。なかなかね、万人が見て楽しいYouTubeではないので、広告収入を目的としているわけでもないので、派手なことはなかなかやりにくいんですが、本当に困っている人のために私どもの知り得るすべてをお話できる、そんな番組にしていきたいと思いますので、来年度も皆さんぜひよろしくお願いいたします。
それでは、良い年末年始をお過ごしください。失礼いたします。