第353回 ディストリビューターの管理育成はシンプルに その3
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、「ディストリビューターの管理育成はシンプルに」ということでお話をしていきたいと思います。今回のディストリビューターの管理育成の話は、比較的中小企業でも管理ができ得る範囲にとどめたお話をしています。大企業と中小企業では経営資源がまったく違うので、できる管理育成の程度が変わってくるということで、今回は中小企業でもしっかりと管理ができるというようなお話でお話をしています。今日で3回目ですかね。
早速、スライドをお願いします。この管理育成に入る前に、この番組、前回、前々回でもお話していますけども、強固な販売チャネルをつくるためには、発掘選定、ディストリビューターの発掘選定が重要だし、契約交渉が重要だし、これがしっかりできて、正しくできて、管理育成をするということがとても重要ですよと。その発掘選定の重要なポイント、契約交渉の重要なポイント、それぞれお話をしていますので、前回、前々回の番組を見ていただいて。今回は前回に引き続き、管理育成のところにフォーカスしてお話をしますよということでございます。
やるべきなんですけど、管理育成と言うんですけど、これはディストリビューターには管理育成をしていると思われずにコミュニケーションを取るというふうに言ったほうが分かりやすいのかもしれないんですけど、重要なのはKPIの管理がやっぱりすごく重要で。3つのことをここに書いていますけど、1つがKPIの管理、2つ目が乖離に対する対策をどう打てるかということと、3つ目のキーマンの育成という、この3つをしっかりやりましょうということで。
KPIの管理というのは、もう契約交渉を経て契約が締結するときにはもうすでに契約交渉後のKPI、活動は全部決まっていますから、KPIは決まってなければいけない。決まっていますからと言うか、決まっているべきことなんですよね。そのときに、前回もお話しましたけど、やっぱりB2Cであればどれだけたくさんの店頭に並べるか、そして、どう並べるかということがすごく重要で。ディストリビューターにはここをしっかり担ってもらうということが大変重要。売上を上げるためには横軸のいわゆるストアカバレッジをどれだけ横に伸ばせるか、どれだけたくさんの店に置けるか、もっと言ったらどれだけ目立つところに、いいポジションにたくさんのSKUを置けるかということがすごく重要で、これはディストリビューターが中心になってやるべきこと。じゃあ、置いたものをどうやって消費者の手に取ってもらう状態に持っていくかというのは、もちろんBTLのような、店頭プロモーションのような、ディストリビューターができるプロモーションもある一方で、やっぱりメーカー側が主になってプロモーション戦略を一緒に考えていかないと、これはディストリビューターに売れ売れ言っても、これは何も知らないもの、なおかつ日本の商品というのは値段が安くはないはずなので、高いものを新興国市場で誰が選ぶんですかと。知っているから初めて選べる話であって。特にTT、伝統小売に行ってしまったら、そこってもう選ばないですよね。なぜならば、彼らにとってこの50セント、1ドルというのは価値がすごく重要で、失敗できない。なので、知らないものは買わない。知らなくて、なおかつ高いものなんて絶対買わない。「そこにジャパンブランドの安心があるじゃないか」って、そんなものはもう通用しないということをしっかり理解をすべきなので。基本的にはプロモーションが縦軸、横軸がストアカバレッジ、ストアカバレッジをディストリビューターが担って、縦軸のプロモーションをメーカーが担うという棲み分けで、どういうKPIをそれぞれ、プリンシプル、メーカーとディストリビューターに課して、それをしっかり管理していくか。今週、何百店舗に置けた、何千店舗に置けたよねと、こういう配置で置けたね、じゃあ、このエリアでこういうプロモーションをやっていこうねということの繰り返しなので、それをドミナントで進めていく、一定エリアで成功体験ができたら次のエリア、次のエリアと、ある程度ドミナントで成功体験をつくった段階でマスに一気にドーンとATLを打っていくという、そういう流れになるので、基本的にはそこのKPIを事前にしっかり決める。何か走りながら、トライアンドエラーでということで、基本的にはディストリビューター任せでなんていうことをやっていたら、何年経ってもその状態がずっと続いてしまうので、基本的には契約交渉の段階でそれをやるということは重要です。
あと、メーカーの本当の価値って、やっぱり乖離に対する対策をどう打てるかということはすごく重要で、予定通り数字が進まなかったときにどうやってそこに対して対策できるの?と。この予定通り進まないということが1つはディストリビューターも頭を抱えている状態、どうしていいか分からない状態。この状態のときにどれだけメーカーが一緒になって彼らと悩み、対策案を出せるかということはすごく重要。じゃあ、それができるかどうかって、何で決まるかと言うと、やっぱりディストリビューター以上に市場を理解しているということはものすごく重要で。多くのディストリビューターとうまくいかなくなったメーカーは市場を理解していない。特に日本の企業は、人事異動でどんどん、どんどん、駐在員なり海外担当が変わってしまうので、これ、変わるということは、オーナー企業のディストリビューターからしてみたら、0リセットの繰り返しをしているようなものなので、基本的にはやっぱりマーケットを理解していないというので、メーカーだからつくる、売るのはディストリビューターと、こういう考えだとなかなか成功しないので、しっかりとマーケットを理解する。ディストリビューターから聞いたことがすべてだと、良いことも悪いこともディストリビューターが言うことがすべてだし、それ以上でもそれ以下でもなくなっちゃうんですよね。こんな危険な状態はなくて。本当は事実と違うのに、そういうことになるというケースって往々にしてあるわけですね。ディストリビューターにとってこっちのほうが都合がいいからこう言っておくとかっていう。それに対してとんちんかんな話をメーカーが、市場のことを理解しないとんちんかんな話をしても、これまたうまくいかないので。ディストリビューターからの情報ではなくて、しっかりと自分たちで調査をして情報を得るということは大変重要ですよということが2つ目。
3つ目のキーマンの育成。これは特にオーナー経営者とコミュニケーションを取るということはすごく重要で。これもメーカー側の現場担当者がコミュニケーションを取るのではなくて、日本側のある一定役職以上の人たちが、やっぱりしっかりコミュニケーションを取らないと、特に新規でこれから取り組みをしようとなると、このオーナー社長がどれだけその商品に対して投資をしようと思うか、やろうと思うかということなわけですね。新しい柱をつくるためには、最初に経営資源を投下してお金も体力も掛かるわけ。それをやろうとオーナーが思わなければ、どれだけ現場が思ったってそうはならないので、そうオーナーに思わせるためには、やっぱり上でしっかりつながらないとそう思わないですよね。だって、彼らはもう、自分たちの売上の何十%を占める商材を裁定でも3つ4つ持っているわけで、そこに5つ目になる皆さんの商品が入るということは、やっぱりオーナーのモチベーションを上げていく。それってトップ同士の付き合いでしっかりとコミュニケーションを取らないと、現場の担当者がコミュニケーションを取るという、そのコミュニケーションとは違う次元のレベルのコミュニケーションをするわけなので、そこをやっぱりなくしちゃいけないですよということと。あと、現場は現場でキーマン、アカウントマネージャー、顧客担当ですね、これはB2BもB2Cも一緒です、顧客担当がいるので、そのキーマンをしっかり押さえるということは大変重要。これはB2Bも一緒で、B2CもB2Bももう考え方は全然変わらないので、すべてにおいて発掘選定も契約交渉も管理育成も、すべてにおいて一緒なので、ぜひこの管理育成という概念を大切にしてもらいたいなと。管理育成なくしてうまくいくなんていうことは万に1つなので、そんな確率論に賭けていたら新興国のビジネスはなかなか成功しないですよということと。あと、これだけのことをディストリビューターにしてもらうので、やっぱり達成したときのインセンティブって露骨に出していく、露骨に表現していくということはすごく重要で。そんなに高い金額のインセンティブを張る必要はまったくなくて、ただ、それをやっぱりイベントにしてみるということで、インセンティブを会社、オーナー社長が喜ぶインセンティブと、現場の社員が喜ぶインセンティブにしっかりと分けて、うまくそれを使っているのが欧米の先進的なグローバル企業なので、その辺も露骨にしっかりとやっていくと。言わなくても分かる、目に見えないものも見えるのは日本人だけなので、言わなければ分からない、目に見えないものはないと一緒というのが世界の常識ですので、そこをしっかりと気を付けて表現していってもらえたらと思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。