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第360回 【Q&A】新たな国へ展開する際に何からはじめるべきか? その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、質問についてお答えしていきたいと思います。

この番組にもそうですけど、Podcastであったり、弊社が運営しているPodcast、それからセミナーなんかでもよく出る質問をピックアップして、これから何回かに分けて回答をしていきたいなというふうに思います。回答というか、説明だよね。説明していきたいなというふうに思います。

前回ちょっと私の話が長くて途中で終わっちゃいましたけども。ちょっとすみません。前回の質問をもう1回出してください。新たな国へ展開する際に何からはじめたらいいのか分からないということで。まあまあ、こういう質問が出るのは当たり前だよねと。なぜならば、新興国というのは、基本的にはそんなに重要視されていなかった市場であったので、基本的には戦略を云々というよりかは、新興国側から「売らせてくれ」という依頼に対して、「売れるんだったらやってみれば」ぐらいの話でやらせていたというのが、たぶんどこの企業も実際のところで。そんなに本腰を入れてなかったと。海外と言えば欧米ですと。そもそも国内の、日本国内が一番重要だったという背景があったので軽視してきたよと。そんな中で、ここ近年、10年15年ぐらいの中で本当に新興国戦略みたいなところを考え始めたから、アジア新興国市場、戦略、なかなか何からやっていいのか分からないというのは当然で。

前回、国内でも、戦略に携わる人なんていうのは本当にごく限られた人たちで、特に0→1の戦略に携わるなんていうのは本当に限られた人たちだと思います。ほとんどの人は、もうすでにあるルーティンの仕事をこなしていくということが大半だと思うので、0→1をつくるなんていうのはなかなか難しい。なので、当然何からはじめていいのか分からないというのは当然ですよねという話をして。

戦略って何かって考えたときに、「誰に、何を、どう売るか」ということを徹底的に考えることが戦略なんですよね。もっと言うと、私たちの経営資源というのは、当然やる人によって限られている。A社にはA社の経営資源、B社にはB社の経営資源があるわけなので。もし自分がA社で戦略を立てるのであれば、A社のこの限られた資源の中で、「誰に、何を、どう売るか」ということを考えないといけない。よくありがちなのは、「誰に、何を、どう売るか」を無限の経営資源の中で考えると。「こうすればいいじゃないか」「お金を使えばいいじゃないか」「何とかやればいいじゃないか」って…。「そんなにお金を使えるんだったら、最初からお金使っとるわ!」という話になるので、そうではなくて、この「限られた経営資源」というのがすごく重要になってくるわけなんですよね。限られた経営資源が重要になるということは、結局は選択と集中なので、いかに自分の限られた経営資源を活用して戦略をつくるか、自分の限られた経営資源の中で「誰に、何を、どう売るか」ということを考えないといけないので。本当に選択を迫られるということがすごく重要、戦略の中で重要なんですよね。それを考えていくのが戦略ですよと。

そんな中で、まずね、フレームワークをやっぱり使うということはすごく重要で。フレームワーク、いくつか戦略をつくるためのフレームワークって、ググってもらったらいっぱい出てくると思うんですけども、それを、基本的な戦略フレームワークはやっぱりマスターしておく。これはなぜかと言うと、便利なんですよね。物事を整理して考えて分析するためにフレームワークというのは非常に便利で、これだけ何十年もフレームワークが使われ続けてきているということは、やっぱり便利なんですよね、何か物事をきっちり客観的に分析をするということはですね。結局、客観的に分析ができず、思い込みで突き進んでいって多くの企業は失敗をするので。だいたいアジア新興国戦略で失敗している企業というのは、思い込みで突き進んで客観的に事実を捉えられなかったから失敗しているというのがもう大半なんですよね。なので、いかに客観的に事実を分析するかということが大変重要ですよと。その中でいろんなフレームワークがあるので、それは3Cとか4Pとか4Cとかいろいろあるので、それはそれで学んでもらって。

1つやっぱり絶対的に重要になるのが、マーケティングの基本プロセス。ちょっとスライドをお願いします。この番組でもさんざんお話をしてきていると思うので、過去の動画を見てもらって…。うちの番組って検索できるんでしたかね、過去の番組のね。ちょっと確認しておくというか、検索できるようにしましょうね。「R-STP-MM」って検索したら、R-STP-MMの動画だけがバーッて出てくるようなかたちに、今なっているのかな。ちょっと担当に確認しますけど。R-STP-MMに関して見てください。

この図がR-STP-MMなんですけども、ここをやっぱりしっかり上から順番につくっていくということをやると、戦略ってある程度しっかりとした、カチッとしたものが出来上がってくるわけなんですよね。

日本で普段仕事をしていて、マーケティングの基本プロセスとか、R-STP-MMなんかやらないですよね。「マクロ環境分析って何?」「ミクロ環境分析って何?」「SWOT分析って、なんか聞いたことあるけど、何だろう?」みたいな、そんな話で。「いちいちこんなの、もう面倒くさいよ。それより営業でしょう」みたいな話がたぶん国内の事情だと思うんですよね。これ、このカタカナとかアルファベットが本当によくないなというふうに思っていて、パッと言ったときに、マクロ環境分析ってパッと入ってこないですよね、0.1秒ぐらいでパッとマクロ環境分析が何なのか、ミクロ環境分析が何なのかということがパッと分かってこないので、僕はこういうふうに解釈をしている。

次のスライドをお願いします。結局、マクロ環境分析って、「どんな市場なんですか」と。「今出ようとしている市場ってどんな市場なの?」と。ミクロ環境分析は、「そこにはどんな競合がいるんですか」と。SWOT分析は、「じゃあ、自分たちが今の経営資源でそこに出たらどんなことが起きるの?」と。「どうなっちゃうの?勝てるの?負けるの?どうなの?」と。「どれぐらい勝てるの?どれぐらい負けるの?」ということを客観的に分析するというのが、このSWOT分析で。これ1つで、ワンパッケージでRなんですよね。ここをしっかりやっておけば、思い込みじゃなくて、しっかり客観的にこのRだけをしっかりやっておけば、「こんな失敗せずによかったのに」という状態には持っていける。8割9割の日本企業の新興国展開って、「こんなこと出る前から分かっていたでしょう。こんなtoo muchな製品、売れないのは出る前から分かっていたじゃん。なぜこんなtoo muchな製品を押し込んだんですか?」ということがあったりとか。基本的には、出る前から分かっていたよね的な問題が非常に多い。

STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)。いや、言葉は分かるけど、いまいちパッと入ってこないんだよねっていうのは、どのセグメントというのは、「どのインダストリーから狙うの?」というふうに考えたらいいと思うんですよね。例えば、これは、今回は消費財メーカーだから、インダストリーというよりかはセグメントなんだけども、コンビニからね…、売る場所って決まっているわけじゃないですか。コンビニで売るのか、スーパーで売るのか、ドラッグストアで売るのか。消費者だったら、中間層に売るのか、富裕層に売るのか、どうするのか。どのエリアに住んでいる人に売るのか、ジャカルタに住んでいる人に売るのか、それとも地方に住んでいる人に売るのか。消費財の場合は、もう確実に中間層をやらないといけないから、正直、セグメントというのは、どっちかと言うと、消費者セグメントというよりかは小売セグメントにフォーカスしたほうが成功しやすいと。もう中間層ど真ん中を狙いますということで。そう考えると、やっぱりセグメンテーションというのは、小売のセグメントを選んだほうがいい。B2Bだったらインダストリーになるわけですよね。インダストリー。

ターゲティングって、そのセグメントの中でも、実際に「誰に売るの?」というところをさらに絞っていくというのがターゲティングで。B2Bだったらバイネームだし、2BCだったらそれこそ本当に小売そのものですよね。「いや、コンビニの中でもファミリーマートじゃなくて、ミニストップでもなくて、セブンイレブンなんです」とか、インドネシアだったら、「インドマレットなんです」とか、「アルファマートなんです」みたいな話になってくると。

ポジショニングというのは、「自分たちの立ち位置ってどうしますか?」と。今までみたいに「自分たちは日系メーカーです。ハイクオリティの良い製品をつくっています」で行くんですかと。そうじゃないよねと。もっと現地の人に寄り添った企業になっていくという、自分たちの立ち位置どうするんですかって、本当に、何て言うんですかね、ポジショニングですよね。もうまさにその言葉通りだと思うんですけど、それを決めていくということをやっぱりやらないといけない。もうこれは十分戦略なんですよね。

もっと戦略、戦術、戦略じみたところに下がっていくのがMMで。より戦術に近いかもしれないですね。戦略というのは、経営が示す大きな方向性ですから、俺たちはあっちに行くぞと。こういうふうに戦って、あっちに行くぞ。この「こういうふうに戦う」のすごく細かな最前線の戦い方が戦術になるわけなんだけども。これがMMですよね。プライス、プレイス…。ごめんなさい。これは間違っているね、表が。修正しておきます。プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの略ですけども。そうか。修正しておきますと言っているけど、番組に映ったときにはもう修正されているから、この今の僕のフレーズはカットされるのかどうか分かりませんけど。(00:10:15~00:10:37※この部分の動画をカットされる場合は、黄色マーカー部分を削除願います。)プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションと。これは、どんな商品を、何を、いくらで、どこで、どうやって売るんですかということを考えるという。これを徹底的に考えていく。競合が何を売っていて、競合がいくらで売っていて、競合がどこで売っていて、競合がどういうプロモーションをしているかという、相対的な話も出てくるわけですよね、4Pには。

独りよがりじゃ駄目なんですよね、4Pって。よく失敗する4Pというのは、独りよがりの4Pなので。自分が何を売りたいのか、自分がいくらで売りたいのか、自分がどこで売りたいのか、自分がプロモーションはできれば実績が出るまであまりお金を使いたくないみたいな、こういう自分よがりの4Pを日本の消費財メーカーがよくつくりがちですけど。そうじゃなくて、市場が何を求めていて、市場がいくらだったら許容できて、市場がどこだったら買いやすくて、市場がどういうふうにそれを知れるのか、市場にどうやって知ってもらうのかということを考えないといけない。だから、4Pというよりかは、もう4Cというふうに考えたほうがいいわけですよね。メーカー側の観点が4Pだとすると、買い手側の観点、消費者側の観点は4Cなので。これはB2Bでも一緒ですけども。買い手側が4Cなので。

また時間ですけども、今日はこれぐらいにして、次回もう1回ぐらい整理をちょっとしていきたいなというふうに思います。

それではまた皆さん、次回お会いいたしましょう。