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第361回 【Q&A】新たな国へ展開する際に何からはじめるべきか? その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。前回に引き続き、今日も質問の解説をしていきたいと思います。今日で確かこの質問は最後になりますかね。

スライドをお願いします。「新たな国に展開する際に何からはじめていいのかよく分からない」ということで、今日はまとめですね。3回にわたってこれは回答を、解説をしていて、僕の話が長いからですね。すみません。何からはじめていいのか分からないんだと。ちょっと整理をしていくと、至極当然ですと。なぜならば、多くの日本の消費財メーカーに限らず、B2B製造業も含めて、やっぱり国内の市場が一番重要でしたということで、国内市場を最優先してきて。そのあとやっぱり先進的な欧米の市場を次の最優先市場としてとらえてきて、そして、アジアを中心とした新興国なんていうのは、ここ10年15年の話なわけですよね。なので、いまだにまだ本気になれていない企業もたくさんいる中で、当然、アジア新興国市場の戦略をつくるなんていうことっていうのは、何からはじめていいか、よく分からないよねと。

もう1つの観点としては、多くの企業の皆さんは、この0→1の戦略をつくるなんていうことに携わる経験をする人なんていうのはほんのごく一握りで、そういう特殊な部門にいないとなかなかそんなことにはならないわけですね、国内で事業をしていると。なぜならば、すでに先人がつくった土台の上で成り立っているビジネスを引き継がれて、それと同じように、そして、それをさらによく改善していくということが多くの仕事になるので、8割9割そこで占められているわけなので、0→1で何か戦略をつくるなんていうことはやりませんよと。なので、こういう質問が出て当然ですねという話をまず1つしています。

戦略って何かと言うと、「誰に、何を、どう売るのか」ということを徹底的に考えることが戦略で。そのときによくあるのが、僕は大学院などで社会人MBAも教えていますけど、そのときによく学生と、社会人でも学生と実際に起業家の話を聞いていると、起業家の人たちというのは、やっぱりお金をどう稼ぐかという、お金がすごく現実的なんですよね。お金って何かと言うと、経営資源そのもので。お金が無限にあれば、誰にでも何でもできるわけなんですよね。よくあるのが「誰に、何を、どう売るか」で、本当に予算や経営資源が無限にあるような戦略をつくろうとする。「お金をかければいいじゃん」「広告打てばいいじゃん」「もっと人を増やせばいいじゃん」って、そんなことができるんだったら誰でもやっているよという話で、そんなの戦略でも何でもなくて。結局、現実的にはどの企業も限られた経営資源が決まっているわけなので、その経営資源の中で「誰に、何を、どう売るか」ということを考えることが戦略なわけですよね。なので、まさに戦略とは選択だというふうに読んでも過言ではないぐらいに、選ばないといけない。選択と集中をしなきゃいけないというのが戦略ですよということが大前提。

それを、じゃあ、つくっていくときに、フレームワークに当てはめてつくっていくということが非常に有効な手段であるというか、早いし、簡単だし、便利だよという話をしました。客観的に見れるわけですよね。これだけ何十年って、フレームワークって授業の中で使われてきているので、ググったらいっぱいいろんなフレームワークが出てきます。4P、4C、3C、いろんなフレームワークが出てくるので、それを使うというのが便利ですねと。

そのフレームワークの集大成というものが、マーケティングの基本プロセスで。集大成と言っても過言ではないものがマーケティングの基本プロセスで、これをしっかりやることが重要なんですよと。このマクロ環境分析とか、ミクロ環境分析とか、わけわからないですよねと。0.1秒でパッと瞬間的に何なのかが頭に入ってこないですよね、マクロ環境分析とか言われたら。でも、僕はこういうふうに解釈していて、「これから出ようとしている市場が一体どんな市場なの?」「そこにはどんな競合がいるの?」「そこにはどんなセグメンテーションがあって、そのセグメンテーションの中にはどんなターゲットがいて、そして、自分の立ち位置というのはどうなの?」「自分たちは、何を、誰に、いくらで、どう売らなきゃいけないの?」「市場は何を求めているんですか」と、「いくらだったら許容できるんですか」と、「どこでだったら買いやすいんですか」と、「どうやったら知ってくれるんですか」ということを考えていくのがMMだったりするわけなので、ここを徹底的に突き詰めると。

多くの日本の消費財メーカーの、新興国、アジア新興国展開の失敗事例は、自分たちが良いと思っているものをそのままその市場に押し付けて失敗するんですよね。「自分たちには日本で実績のある、これがもう最高なんだ」と。「これが良い、良くないわけがない」と言って、これをドーンと押し付ける。「アジア新興国だから多少は安くするけどね」と。そうじゃないよねと、本当に彼らが求めているもので、押し付けるんだったらね、外資みたいに徹底的にプロモーションを根気よく投資しないと押し付かないですよね。中途半端にプロモーションをして、しないで押し付けようと言ったって押し付いてこないので。もう、どこのマスメディアを見てもずっとそのCMが流れていたら、それは押し付けられると思いますけども。やっぱりそこの違いが非常に大きい。

「誰に売るか」ということはすごく重要なのに、「誰と売るか」ということに目が先にいく。どういうディストリビューターを使おうかって、そんなことはどうでもよくて、誰に売りたいんですかと、もう消費者のレイヤーで言ったら中間層、確実に中間層なので、消費財メーカーは。中間層以外の消費者は考えなくていい。中間層のどのエリアに住んでいる人とか、もっと細分化した中間層を考えるんだったらいいですけども。なので、ターゲットというのは、「誰に」というのは小売になるわけですよね。「自分たちはどの小売を押さえなきゃいけないの?」と、「オンライン・オフライン含めてどの小売を押さえないといけないの?」と。じゃあ、その小売を押さえるためには、「誰と売らないといけないの?」ということを考えていかないといけないので、「誰と売るか」というのは、「誰に売るか」の後なのに、「誰と売るか」にばかりフォーカスがいってしまっているということが日本の消費財メーカーの失敗事例で。私はたくさん見てきたので、その辺をちょっと注意をしていくということが必要なんじゃないかなというふうに思います。

この番組でも戦略についていっぱい語っていますので、ぜひ見てみてください。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。