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第367回 【Q&A】伝統小売への導入率を上げる方法 その4

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、番組に寄せられた質問に答えていきたいと思います。

スライドをお願いします。今日でこの質問、回答は4回目なので、まとめということでやっていきたいと思います。伝統小売への導入がなかなか進まない、消費財メーカーですということで、「近代への導入は比較的いいんだけども、伝統小売になかなか導入が進まない。伝統小売における導入率を上げるためにはどうしたらいいのか」ということで、3回ずっと話してきて、今日4回なので、まとめということでお話をしていきますが。

ちょっと整理立てて1個1個話していきたいんですけど。まずね、伝統小売を攻略するということは輸出じゃ無理なので、ほぼ無理なので、輸出のステージの企業ではないということ、基本的には現地法人があるという、現地で生産して、現地で販売をするという企業でしかなかなか伝統小売の攻略というのは現実的には難しいです。なぜならば、輸出というのは日本で100円で売っているものが150円200円になってしまうのでなかなか伝統小売には売れないよということで、まず現法があるということが前提。

そして、現地で近代小売でやっぱりある程度売れ筋になっていないといけない。現法で現地で売っているんだけども、日系の匂いのするような、日系スーパーでしか売られていないとか、ローカル系の大手のスーパー、メジャーなスーパーにも入っているんだけど、輸入品棚にしか置かれていない、メインの棚には置かれていないみたいな状態だと、これを伝統小売に売る前にまだやることありますよねという話になってしまうので。やっぱり近代小売でメジャーになるということはすごく重要。なぜならば、伝統小売のオーナーというのは、自分たちの限られた店舗に売れないものなんて置きたくないんですよね、基本的には。なので、いかに近代小売で売れているか、売れ筋になっているかというものを厳選して選んで置きますから、いかに近代小売で売れるかということがやっぱり絶対的に重要ですよというのが1つです。
輸出じゃ駄目よと、現法がないと駄目よと。あと、現地で近代小売で売れ筋になっていないと駄目よと。次が、ここまでがクリアできたら、今度はここで初めて伝統小売に導入するための本当に具体的な、この「どうしたらいいんですか?」のところに手を付けられる。今言った2つというのはもう大前提条件。このまず前提条件を満たしてください。この前提条件を満たせた企業は、じゃあ、今度次、2つのことを変えましょう。1つはモノです。そして、もう1つはチャネルです。

モノは何かと言うと、モノそのものを変えろと言っているのではなくて、梱包形態であったり、入数を変えるということをやっぱりやっていかないといけない。伝統小売の最大の魅力って、今使いたい分だけ買えるということが最大の魅力なんですよね。消費者にとっては、伝統小売というのは、実は近代小売よりも商品の1個単価とかグラム単価は高いんですよね。でも、近代小売で10個で売っているものが1個で買えるって、これが魅力なわけですよ、伝統小売の。なぜならば、伝統小売というのは利便性もそうなんだけども、やっぱり今使いたい分だけ使える、消費者のキャッシュ・フローを楽にするというのが、伝統小売の最大の魅力で。たばこも、結局、1箱20本じゃなくて1本から売っている。飴も10個入りじゃなくて1個から売っている。頭痛薬も12個、24個入りじゃなくて1錠から売っている。今、頭痛い、これを治したいんです。次いつ頭痛くなるか分からないのに、その頭痛薬を今買うなんていうことは、そんな無駄なお金はないわけですよね。ギリギリの中でお金を回しているわけですから。そうすると、この伝統小売の最大の魅力はばらで売るという。商品形態は、本当にお客さんが買いやすい状態になっていますか?伝統小売へ行くとポテトチップスも小さい。薬もばらで売っている。何でもばらで売っている。1袋が小さいですよね。なので、どれだけ小さくするか、少なくするか、ばら売りするかということがまず重要です、ということが1つ。

チャネルというのが、まず、ストラクチャーの話で言うと、ちょっとすみません、スライドをお願いします。ストラクチャーが、やっぱり現法があるところ、先進グローバル企業と書いてあるストラクチャーですけども、基本的には直販するんですよ、現地法人が、MTは、近代小売は。なんだけども、TTというのは、数十万店、数百万店あるわけですね。ベトナムで50万店、フィリピンで80万店、インドネシアで300万店、インドなんて言ったらたぶん1,000万店以上あるわけですよ。もう計測不可能みたいな。これはアフリカにもあるんですね、スパザって南アフリカにもある。もう新興国に伝統小売というのはつきもので。この無数に数十万ある伝統小売を1社のディストリビューターでやろうなんていうのは無理で、なおかつ、だいたい日系企業が近代小売向けに使っているディストリビューターというのは伝統小売が不得意だったりするので、基本的にはディストリビューション・ネットワークをつくらないといけない。複数のディストリビューターを束ねてネットワーク化して、ディストリビューションしていかないといけない。そして、エリアごとに分けないといけない。物理的に1社ですべてをカバーするなんていうのは難しいんですよね。ものすごく労働集約型なので、伝統小売のオペレーションというのは。なので、基本的には複数のディストリビューターを使いましょうねと。この番組でも、P&G型とネスレ・リーバ型って、それぞれのディストリビューション・ネットワークのつくり方の違いの説明をしていますから、この前かな、その前か、見ていただいて。そういうディストリビューションのストラクチャーをそもそも変えていかないと駄目ですよと。

正しい組織、正しいというか、適した、伝統小売に適したディストリビューション・ストラクチャーで、次の図が、伝統小売に適したオペレーションを回さないといけない。正しい組織で、ディストリビューターのストラクチャーで、正しいオペレーションを回すという、この利益が出るゾーン、利益が出ないゾーンというのの説明はちょっと飛ばして。これはまた過去の番組、過去というか、何回か前に説明しているので。この図の通り、ストアカバレッジ、とにかくたくさんの店舗に置くというところと、1店舗あたりでちゃんと回転させるということを同時並行的に縦軸と横軸をやっていかないといけない。やっていかないといけない。だから、KPIはストアカバレッジとインストアマーケットシェアなんだけども。そして、いかに赤字ゾーンから黒字ゾーンに出るかということで。

やっぱり1個前のスライドにちょっと戻ってもらって。結局ね、中途半端に伝統小売をやるんだったらやらないほうがいい。なぜならば、中途半端にやったって利益が出ないから。ストアカバレッジが低かったらシェアが低い。シェアが低いということは、1店舗あたりで売れる量が少ないわけだから、伝統小売ってやっぱり10万20万まで到達して初めておいしいんですよね。一気においしいゾーンになると。なんだけども、中途半端に2万3万とかやったって、労力のほうがかかるので、全然ROIが合ってこないんですよね。かけている労力が利益に変わるのって、やっぱり10万店を超えてこないといけないので、そこまで本当にやりきりますかという腹決めがすごく重要で。それをやるためには最初に言った前提条件、近代小売で売れているとかっていうのがあって、商品形態があって、そして、それに向いているチャネル・ストラクチャーをしっかりつくって、ドミナントでやっていくんですよと。近代小売の店舗の周辺のTTからドミナント戦略でやっていって、徐々に増やしていって、それを10万店舗までやっていきますよと。そして、ところどころBTLとATLにしっかり投資をしながら増やしていって、10万店いかないと利益出ませんよと。そこまで辛抱してやっていけますかという腹決めができないと、中途半端に様子を見ながらちょっとやってちょっとやってみたいなことをやっていても、やっぱりなかなかこのブレークスルーできないので。また最後のスライドをお願いします。そこまでしっかりやるということが大変重要ですよということでまとめとしたいと思います。

全4回になりましたけども、何回か見てもらったらしっかり分かるんじゃないかなというふうに思います。また、今日はこれぐらいにしたいと思いますので、また次回お会いいたしましょう。