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第370回 【Q&A】伝統小売が近代化してから出るではだめか? その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。

それでは、早速、今日の質問ですが…。「伝統小売が近代化するまで待ってから参入するではダメでしょうか?」ということで、消費財メーカーからの質問です。「そもそも弊社は苦労してまで伝統小売(TT:Traditional Trade)を攻めるべきかを悩んでいます。結局、ASEANも全体的に近代化するのであれば、市場が成熟し、現在の伝統小売が近代化してから参入したほうがよいのではないでしょうか?」ということですが。

そうですね、この質問はよくあります。日本の消費財メーカーのASEANにおける現状をあらためて整理をしておくと、基本的に近代小売の参入に関しては、完璧ではないけどある程度できましたよと。その中でやっぱり一部の企業を除いては、ほとんどの企業がこの伝統小売の攻略というところに苦戦を強いられているというのが今の現状でございまして。その中でこれだけ難しい伝統小売をやるのであれば、どうせ伝統小売もそのうち近代化するんでしょうと。そしたら、近代化してから攻めてもいいんじゃないの?ということなんですね。

伝統小売と近代小売の整理を、おさらいをさらっとしておこうと思うんですけど、次のスライドお願いします。近代小売というのは基本的にはデパートとかハイパー、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどのPOSレジがついている、いわゆるわれわれが日本で慣れ親しんでいる近代的な小売を近代小売と言って、MT:Modern Tradeというふうに言うと。一方で、伝統小売というのは、Traditional Trade、TTというふうに呼ばれていて、昔ながらのパパママショップですよね。ASEANなんかに行くと、特にベトナム、インドネシア、フィリピンなんかは、こういう写真の通りの店幅、奥行き、非常に狭い、店のおばちゃんかおじちゃんが1人いるような小っちゃい店がありますけども、こういった伝統小売が非常に多いですねと。

じゃあ、これがどれぐらい多いのかと言うと、真ん中ら辺、インド、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、中国とありますけども、特にベトナム、インドネシア、フィリピンなんかを見てもらうと分かるんですけど、ASEANって大きく3つに分けられるという話はこの番組でも何回もしてきましたけども、SMT、シンガポール、マレーシア、タイ、これは先進ASEANなので、シンガポールはもうほぼ100%小売は近代化しているし、MTのマレーシア、タイも下から2番目、3つ目ですね、約々5割ぐらいはもう近代化が進んでいるんですよね。

一方で、攻略が難しいのは、この人口が爆発的に増加をしていて、将来最も市場として大きくなるというふうに言われているベトナム、インドネシア、フィリピン、VIPですよね。後進ASEANというふうに私は読んでいますけど、ここがやっぱり8割以上がまだまだ伝統小売ですよと。ベトナムで人口1億強…、1億前後かな、フィリピンで2億、インドネシアで3億というふうにカウントしてもらったら分かりやすいと思うんですけど、このような大きな市場においては、まだ8割が伝統小売ですよと。これって金額ベースなので、金額ベースで8割は伝統小売ですよと。じゃあ、数字、店舗ベースで言ったらどうなのかというのを見てみると、例えば、ベトナムの近代小売なんて、まだまだ3,000店舗ぐらいしかないんですよね。これ3,000店舗って驚きですよね。日本でコンビニ1社で何万店ってあるのに、全部の近代小売を合わせても3,000店舗ぐらいしかないというのがベトナムの状況で。一方で、伝統小売はどれぐらいあるかと言うと50万店存在する。フィリピンなんかでも7,500店舗…、今、8,000店舗ぐらいあるかな、8,000店舗ぐらいの近代小売に対して80万店ぐらいの伝統小売があって。インドネシアに関しては3万5,000店舗…、4万店ぐらいありますかね、今ね、4万店ぐらいの近代小売に対して、300万店の伝統小売がある。

こういう難しい市場において、結局、過去から見ている中でね、伝統小売というのは、近代化確かにしているんですよ。近代化していっているので、どんどん数はほんとに伝統的な、一時期ガーッと増えたんですけど、私がシンガポールに住んでいた1980年代とかに比べたら一時期ぶわーっと増えたんですけど。そこからやっぱり近代化に向けて減っていってて、年々、年々、近代化はしていっているんですよね。近代化していっている。だから、この質問者の意図は、「どうせ伝統小売はなくなって近代小売化するんだったら、近代小売化してから攻めてもいいんじゃないの?伝統小売を攻めるのは大変だよ」ということなわけなんですね。

こうして背景を説明しているだけで、もう5分以上経ってしまったので、今回これで1回切りますけども、引き続き、次回、「伝統小売が近代化してから攻めるのではダメなんですか?」という質問に対して答えがまだ全然言えてませんけども、説明を引き続きしていきますので、また次回お会いいたしましょう。