第379回 【Q&A】ディストリビューターとの上手な付き合い方とは? その2
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、「ディストリビューターとの上手な付き合い方」についてお話をしていきたいと思います。それでは、もう1回、前回のスライドをお願いしたいんですが。「ディストリビューターとの上手な付き合い方とは?」ということで、これは消費財メーカー、比較的大手の消費財メーカーからの質問でございまして。「売上を拡大させるためにディストリビューターにいろいろと施策の提案をしているけども、なかなかそれをやろうという雰囲気になりません。基本、任せて口を出すなと、メーカーはよく分かっていないんだから、俺たちに任せておけというようなスタンスです。しかし、それでは現状から大きく売上を拡大させることができないと思っているので、なんとかディストリビューターを動かしたいんだけど、どうやったら動かせるか」と、そういう質問でした。
私がお話したのは、こういう状況にならないためにも、ディストリビューターは最初が重要ですよと。こういう状況にならないためにどういうふうにディストリビューターと付き合ったらいいのかという話と、あと、もうなってしまったんだと、なってしまったらどうやってそこから脱却する、改善していけばいいのかという、この2つのお話をしますねという話を前回していると。まず、この最初のならないためにどうすればいいのかというお話の途中で前回終わっちゃったんですけども、「どうやったらならないのか」ということについて、続きのお話をしていきたいと。こうならないためには、まず、いろいろと重要なことはあるんだけど、大きく分けて、「ディストリビューターの誰とお話をするか」ということと、「どういうふうにお話をするか」ということがすごく重要で。この「誰と」に関しては、とにかくオーナー社長と話してくださいねという話をしました。それに関しては前回の動画を見ていただいて。
今日は、じゃあ、そのオーナー社長とどういう話をするべきなのかということが非常に重要で。結局、多くの日本のメーカーさんとディストリビューターのやり取りを見ていると、結局、契約締結までがゴールなんですよね。もう過去いろんな商談に関わってきて、いろんなシーンを見て、一緒にいろんな取り組みをする中で、やっぱり失敗する企業の共通点は契約締結がゴールです。そうなってくると、契約書も、結局、守りはしっかり固まっているんだけども、いわゆるこういうことしちゃ駄目ですよと、ライセンスこうですよ、ブランドこうですよ、勝手に商標を使用しちゃ駄目ですよと、こういう守りのところはしっかりできていると。なんですけども、攻めの部分がまったくもって出来上がっていないので、攻めというのはマーケティングの話ですよね。どうやって自分たちの商品を売っていくんだと。誰にどうやって売っていくんだということが、やっぱり非常にぼわっとしていて。売りたい商品はこれで、売りたい価格はこれみたいなところは決まっているんだけども、その先の本当に重要なマーケティング、ターゲティング、そのターゲットに対して、じゃあ、どういう組織でどういう人材がどう売るんだみたいなところは、もうお任せ状態で来ているんですよね。自分たちはつくる人、売るのはディストリビューターさん、あなたたちですと。パートナーさんですと。なので、そこはよく分からないのでお任せしますという、そういうスタンスで来ていると。
日本でも、ディストリビューター、販売店、代理店を使っていても、そんなお任せで売ることなんていうのはメーカーはしていないはずなのに、海を渡る、なおかつ新興国になってしまうと、そこが完全にお任せ状態になってしまう。そのお任せ状態で来るということは、今までお任せしていたのに、なぜ急に口を出してくるのよというお話になってしまうので、やっぱりなかなかディストリビューターのスタンス、年数を積み重ねれば積み重ねるほど凝り固まってしまうので、変えるというのは、これは一筋縄ではいかないことになっちゃうので。最初のその握り方がすごく重要ですよと。
結局、次のスライドをお願いしたいんですが。ディストリビューターのオーナー社長と話をするときに、自分たちの心を打つ理念をしっかりと理解させて、そのオーナー社長がその理念にしっかり共感してくれて、その理念の下に適切な目的があるわけですよね。ミッションがあって、その目的がイコールにならないといけない。一緒にその目的を達成しようという思いを、とてつもなく大きな熱量でそれを感じてくれて、そこには明確な目標合意が両社でしっかりなされていて、綿密な戦略合意が両社でしっかりなされていて、KPIがしっかり共有されて、そしてそこに高度な戦術があるという、こういう5つの大変重要な項目がしっかりとディストリビューターと共有できてないと、ただ売りたいみたいなところだと、やっぱり関係も薄れてきちゃうし、結局、つくるのは自分たち、現地のことはよく分からないのでお任せですと。どういう結果になるかと言うと、うまくいっているときはそれでいいわけですよね、こっちも何も言うことはない、うまくいっているので。けど、それって継続性がないですよね。継続性がないし、汎用性もない。再現性がないと言ったほうがいいですかね。決して再現しないので、いっときの瞬間風速的な良い時代というものが過ぎ去ってしまうと、やっぱり下降に向かう時期というのは必ず出てくるんですよね。そうしたときに、結局、彼らの言い訳は、市場が悪いと、為替が悪い。マーケットが悪いか、為替が悪いかみたいな話になってしまって。それに対してなんら対策案が出てこない。こちらもマーケットのことをよく分かっていない。今まで任せきりにしてきたので、対策が打てないみたいなスタンスになるわけですよね。だから、何を言ったって、また余計な仕事をやらせて、俺たちの業務に負荷がかかるだけだろうって思われるケースも当然あると。要は、日本側がだってマーケティングに関わっていないんだから、何を言ったって、「そんなのもうやってるよ」みたいな話になってしまって、レベルの低い提案をメーカー側がするということになってしまうということが1つですよね。
仮にそのレベルが高い提案だったとしても、もう1つあるのは、ディストリビューターとメーカーの求めているところってやっぱり相反する部分って必ずあるんですよね。ディストリビューターには、彼らにとってのスイートスポットというのがあって、そこにいるときは彼らは最も利益率が高くて最も居心地の良い状態、そこにハマってしまうと、そこからディストリビューターを次の成長にボーンと乗せるのってものすごく大変で、そこで言うことを聞かないという、そういうケースもあるんですね。
最近、僕、すごい話が長くなっちゃって、まとまりのない、もっと簡潔に5分で話さないといけないんですけども、もうちょっと時間が経っちゃったので、すみません、もう1回、次回きれいに整理してお話をしたいと思いますので、次回またお会いしましょう。