第381回 【Q&A】ディストリビューターとの上手な付き合い方とは? その4
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、「ディストリビューターとの上手な付き合い方」についてお話をしていきます。今日で4回目ですね。スライドをすみません、一番最初のスライドを。こういう質問が来ていて、ずっとお話をしているんですけども、今日で4回目になります。また前回どんな話をしたかという話をしていると話が長くなるので、それは前回、前々回、その前の番組を見てもらって、今日は前回の続きの話をします。
前回お話したのは、日本の企業のジョブローテーションによって、もうディストリビューター側も疲れていますよと。30年付き合っていて、何人担当変わっているんですかと。何かを一緒にやろうと思っていた時期というのは、やっぱり組んだ当初は必ずあったはずなんですよね、モチベーションも高かった。それが、「よしやるぞ」ということを一緒にやってきて、結果が出る半ばで帰任になって、帰任になってしまったらもう自分の担当じゃないですから、まったく関係ないと日本に帰ってしまったと。次のまったく分かっていない担当が来て、また0から始めるという、そういうことをずっと繰り返されてきたディストリビューターの身にもしっかりなるべきですよと。そんな状態なのに、いきなり何か施策を提案して、それがスッと入るかと言うと、いや、それは入らないので、いずれのメーカーもいろんな歴史があると思いますからね、ディストリビューターとの、自分たちの会社が過去どれぐらいの期間、どういう歴史で、何人の担当者に引き継がれて、どういうことをやってきたのかということをしっかり年表にして、まず把握するということをしないと、彼らの本音みたいなところってやっぱり見えてこないんですよね。ここまで明確に、この質問にあるように「任せて口を出すな」というスタンスっていうことは、相当ないわゆるパワーバランス、マウントを取られてしまっているという状態なので、そこからひっくり返すのは、やっぱり数年かかると思いますよ。本当にしっかりとやっていかないといけない。だいたいそこでうまくいかないので、日本企業側はディストリビューターを変えるという重い腰を上げつつ、もう何かあったら怖いし、どうなんだろう、ああなんだろうということで、現状から変わらないという状況がずっと続いてしまうというケースが多いんですけども。やっぱり彼らの気持ちを、自分たちの会社が彼らとどういうふうに付き合ってきたかということを開いてみて、可視化してみて、まず理解するということからしっかり始めるということは重要であるというのが1点目です。
もう1つあるのが、彼らが既存の売上で止まってしまう要因には、成長が鈍化するからメーカー側が何か施策をしてもっと成長させたいと思うわけですよね。それってどういうことかと言うと、ディストリビューターのスイートスポットにハマっちゃっているんですよね。これは何かと言うと、ディストリビューターにとってスイートスポットというのは、今の組織体制、今の人員でやれる最大限が彼らにとって最も利益率がよかったりするわけですよね。それ以上売上を上げようと思うと新たな投資が必要なんですよ。例えば、もう少し小売を広げようと思うと、新たにリスティングフィーをかけないといけないとか、プロモーションをしないといけないと、日系企業はどうせプロモーションフィー大して出してくれないでしょとか、そういうことを思っていますから。人を採用しないといけない。そうなってくると、彼らにとっては今の利益率が一定期間、下がってしまう。将来、得られるだろう次のステージに行くんですけど、ドーンとここまで頑張ってきて、この辺からいわゆる鈍化してくるわけですよね、売上が。いわゆるずっとずっと攻めて攻めてこの辺から守りに入ってきて、この状態でしばらく続いてちょっと微減ぐらいしたぐらいでも、新たな投資をやろうと思うとやっぱりまた頑張ってのぼらないといけないので、そこの投資を嫌がる、スイートスポットハマっているという、こういうディストリビューターは結構あるんですよね。もしそうなんだとすれば、そこに対してやっぱり明確な支援を、メーカーとしての支援をしっかり見せていく施策をしないと、「あれをやったらどうなんですか」「これをやったらどうなんですか」みたいな施策しか打ってないからこれは嫌がっているんだと思うんですよね。「メーカーとしてこういうことをやります。こういう予算を組みます。なので、こういうことを一緒にやりませんか」と、メーカーがどれだけやるのということをやっぱり見せないと、「あそこに行って営業して」とか、「あれやって」とか、「これやって」とか、そんなことはもう分かってるという話なので、「いや、そんなことをやったら、それは売上上がるかもしれないけど、一定期間投資が必要で、自分たちの利益率下げることになるから嫌なんだよ」というケースもあるわけなんですよね。そういうことをやっぱり気を付けて、くんであげるということをしないと、彼らは動いていかないので、やっぱりこういうスタンスに陥らない付き合い方をしていくということは非常に重要、これからディストリビューターを変えるとかね、これから新たな国で展開するというときはですね。
ただ、多くのメーカーはすでにディストリビューターと付き合ってしまっていて、こういう状況に陥っている企業というのは少なくないので、その場合の解決策としては、まず過去のお付き合いをしてきた歴史を紐解いて、どれぐらいのフラストレーションなりが溜まっているのかということをやっぱりしっかりと分解するということと、彼らがスイートスポットにハマっている状態なのかどうかということを明らかにして、そこに対して支援の手を差し伸べるということをして、ちょっとずつ動かしていくということをやっていくと、誰がそれをやるかによりますけど、われわれのチームが入ったら1年ぐらいでそれは一気に変えていきますけども、通常で言うと、やっぱり2~3年、4~5年ぐらいかかってやっとスタンスを変えていくということになるとは思います。なので、根気よくやっていくしかないのかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにして、皆さんまた次回お会いいたしましょう。