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第383回 【Q&A】近代小売への効率的な導入方法とは? その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、皆さんの質問にお答えをしていきたいと思います。

では早速、前回の質問のスライドをもう1回お願いします。そうですね、近代小売の導入、効果的な導入方法ということで、消費財メーカーさんからの質問で、「新規に参入する場合、近代小売への効率的な導入方法を教えてください。一気にやるべきなのか、それとも少しずつやるべきなのかで悩んでいます」ということだったんですが。

私、結論、一気にやっちゃ駄目よと、新興国市場というのは、別に近代小売への導入に限らず、小さくやってそこでの成功体験を大きく育てていくということをやっていかないと、これは別に何事もそうだと思うんですけども、いきなりドーンとやるというのは確実に勝てるときじゃないと、そんな大博打打てませんから。基本的には新興国市場というのはいろんな不測の事態が起きるんですよね。マーケットとしてもいろんな成長過程なわけですから、まさに新興国という名前の通りですね。いろんな状況が変わっていく中で、いきなりドーンとやるということはまず不向きですと。なので、小さくやって、どれだけ成功体験を自分のものにしながら、徐々に成功の範囲を広げていくかということを、とてつもない高速で回転させていくということはすごく重要で。

もう1つは、日本企業のグローバル戦略そのものが世界標準化戦略みたいなところを今まで取ってきていないのに、いきなり新興国だけでという話じゃないんですよね、もうグローバル・マーケティングの世界になってくると。グローバル・マーケティングの世界というのは、地球全体、世界全体の競争の中の1国なわけですね。1国とか1エリアなので。先進グローバル企業みたいに世界で世界標準化という大前提があった上でのローカリゼーション、現地適合化が乗るということには、そもそも戦略としてそこが明確にそうだという体制ではないので。そんな巨額な投資に耐え得る状態じゃないわけですよね、日本のメーカーの多くは。特に消費財はね。そうなってくると、やっぱり小さくやっていくということはすごく重要で。

すみません、質問からちょっと逸れちゃいましたけども、「近代小売の効果的な導入方法」ということでは、まず業態を、この図の通り業態を決めてくださいと。自分たちが最も適している業態ってどれなんですかと、自分たちの商品というのはスーパー系なんですか、コンビニ系なんですか、何なんですか、ということをまず決めるということですよね。

そのときに、「日本ではコンビニで売っていて、コンビニ系の商品だからコンビニだよね」というのも当然ありなんですけども、その国のスーパーとコンビニ競争優位というものをもう1回見直すという、ドラッグストアも含めてね。どういう業態の小売がどういう数、どういう売上であって、国民がどういうふうに購買しているのかということを見ると、日本と違う構造が見えてきたりするわけですよね。そうなったときに、必ずしも、「日本でコンビニだからコンビニなの」とはならないケースもあるので、もちろん通常はなるんですよ。ただ、ならないケースもあるので、そこはしっかり見極めていきましょうと。

まず業態を決めますと。業態を決めたら、例えば、「コンビニです」と決めたら、コンビニもA、B、C、Dとあったときに、どこを狙うんですかということで、1社だけ選ぶということがすごく重要で、この1社とまずやる。A社とやって成功すれば、B社もC社もD社も「やらせてください」と言ってくるんですよね、向こうから。小売との交渉力が圧倒的に楽になる。アジア新興国の小売の特有ですけど、彼らは棚代を取ります。1SKU何千円という棚代を取る、導入費かかる、強制プロモある。そうすると、小売との競争力をどれだけ保つかということはすごく重要で、日系企業、新規商品というだけで、もうカモネギ背負ってきましたというような、そんな状態になっているわけですよね、コンビニにとったらですね。そうすると、そのカモネギがカモネギに見えないように立ち振る舞っていくということは、やっぱりどこか1社で、そこではカモネギになっちゃうんだけども、しっかり実績をつくれば、そことのその後の交渉力もしっかり保てるし、その他のコンビニともやっぱりしっかり交渉力を保てると。コンビニで爆発的に売れたら、「スーパー用の大袋をつくってくださいよ」と、「ドラッグ用の何とかつくってくださいよ」と必ずなってくるので、やっぱりとにかく1社で徹底的に実績をつくるということはすごく重要。なんなら店舗数も限定すべきなんですよね。A社のコンビニ全部にいきなり置くなんていうことはやらずに、ある地域のエリア、例えば首都だったら首都の何とかエリアだけに限定してやるということもやっていく必要があると。最も適している場所で確実な実績を確立すると、その他の主要MTとの交渉が非常に楽になると。結果、導入費を最小限に抑えた状態で網羅的にMTへの配荷が進むということになるので、一気にやって息切れしたメーカーなんて、過去この20年でたくさん見てきているので、一気になんてやっても絶対予算続かないんですよ。何億とかでは足りないですからね。なので、やっぱり絞って絞ってやっていくということと、

あと、絞ってやっても失敗しているというケースがすごくあって。絞ってやっても失敗しているケースというのはどういうものかと言うと、やっぱり商品がそもそもそれ本当にその国のマーケットが求めているんですかというようなものを同じような類似品のローカルメーカーがあるのに、自分たちはJapanのメーカーでプレミアムだから、少々高くても売れるでしょうって導入するんだけども、いやいやいや、確かにJapanのメーカーなんだけども、別に同じようなものを他の国の企業もつくっているし、アジアの企業も中国企業もつくっている中で、ブランド力がなければ、特に消費財、スーパーで売るようなFMCG的な消費財って日用品、食品、日用品というか、日々のデイリーユースなわけじゃないですか、Fast Moving Consumer Goods、FMCGと言われるぐらいなのでね。そうすると、ブランドのエッジの立て方も健康的だとか何とかだという立て方であって、ハイブランド的なブランドの立て方というのはできないわけですよね。そうすると、そこにそれだけお金を払うかと言うと、なかなかちょっとそれは違う話になっちゃうので。やっぱりドミナントで小さく実績をつくっていく、いくんだけども、ターゲットに対する4Pのうちのプロダクト、プライスみたいなところ、本当にその商品求めていますかと、そのターゲットはと。本当にその価格、受け入れられるんですか、そのターゲットはと。消費財の最も重要なことというのは、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、出来る限り速い頻度で、くり返し永遠に買い続けてもらうことなわけで、それが出来得る金額なんですかと。1回や2回買うんじゃ意味ないですよということをやっぱり突き詰めていって、そこがしっかりしていたら、私が言っている、ドミナントでしっかり小さく始めるということでね、今言った、コンビニから、業態絞って、小売絞って、店舗絞ってというやり方で十分クリアをしていける話だと思うので、つまづいている企業というのは、やっぱりモノと金額が合わない、ターゲットに対して合っていないというのが原因なので、そこをしっかりと見ていくということは必要だと思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。