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第396回 【本の解説】失敗する企業の法則

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、解説をしていきたいと思います。『グローバル・マーケティングの基本』の解説をやっていきたいと思います。今日は17ページ、「1-3 失敗する企業の法則」についてお話をしていきたいなというふうに思います。

ここでの内容は、私かれこれ20年以上ですかね、このアジア新興国、中国、ASEANを中心としたアジア新興国市場において、日本企業のマーケティング支援をしてきているんですが、その中で失敗する企業はやっぱり共通点がありますと。この共通点、B2CもB2Bも変わらなくて、同じで、製造業においては必ずこの、これからお話をする3つの共通点があると。これはサービス業でも一緒ですね。一時期、サービス業の支援もしていたんですけどもね、ノウハウがやっぱり違うんですよね、製造業の支援とサービス業の支援。なので、今はサービス業の支援というのは、お願いされればやらないこともないですけど、もう100%製造業になっていて。その中でやっぱり大企業を中心として支援してきているので、今日からお話をする、今お話をする話は決して中小企業の話ではなくて、大企業の話。ただ、中小企業になればなるほど、その度合いはひどくなっている傾向があって、大企業には大企業の失敗の要因、中小企業には中小企業の失敗の要因というよりかは、日本企業全体としてこの傾向が強いというふうに捉えてもらったらいいと思うので、もし中小企業さんとか中堅・中小企業さんが聞いていてもだいたい同じというか、今日これからご説明する内容がよりひどくなるというふうな傾向が強いので、そういうふうに捉えてもらったらなというふうに思います。

結論から申し上げると…。スライドをお願いします。3つあって、共通点、「モノ頼りの海外展開」をするケース、ケース2の「パートナー頼りの海外展開」、そして、ケース3の「ヒト頼りの海外展開」ということで、これについてそれぞれ説明をしていきたいと思うんですが。

次のスライドをお願いします。まず、「モノ頼りの海外展開」なんですけど、これは、自分たちの商品が良いと、圧倒的に良いというふうに信じきってしまっていて、競合の製品と比べても機能・品質において圧倒的に勝っていますと。価格は少々高いかもしれないけども、モノが良いんです。だから、大丈夫なんですと、極論そういうことなんですよね。そこまで言わずともね、モノは良いけどどうなんだろうと言いながらも、結局、ほかのマーケティングが置き去りになるんですね。モノを作るということに関しては、しっかり完璧にやるんだけども、それ以外の、じゃあ、どういう価格帯が許容されるんですかとか、どういう売り場に並べる、どういうプレイスをつくっていくということが顧客にとって買いやすいことになるんだろうとか、プロモーションに関しては、よく分からないから、売れたらプロモーション投資するけど、売れないならプロモーション投資しないみたいな、卵が先か、ニワトリが先かみたいな話なんですけど、とにかくモノが良いのでなんとかこれでやってみましょう的な発想。なので、これは戦略がないんですよね。モノが良いからというところがやっぱり中心になっていて、戦略っぽいものはつくるんだけども、基本的にはモノが良いからになってしまっているというのが1つ目。

2つ目の「パートナー頼りの海外展開」というのは、基本的には海外、これはパートナーが非常に重要で、僕はパートナーを否定しているのではなくて、パートナーは重要ですと。ただ、自分たちがマーケティング戦略、売ることのすべてを把握して、把握した上でパートナーに任せるのと、まったく理解をせずにパートナーに丸投げするのは、これは得られる結果がまったく違っていて。後者のケースが非常に多いと。とにかく自分たちは作る人なんですと。良いモノを作らせたら一流なんですと。ただ、現地のことはよく分からない、新興国だしと。なので、パートナーお願いしますと。しかも、そのパートナーもとにかくデカいところ、財閥系、大手みたいなところと組んで、結果、蓋を開けてみたらなかなかうまくいかないなんていうケースは結構ごまんとあって。

万に1つ、うまくいってもなかなか厳しい。これが20~30年ぐらい前の地場の大手とか財閥系だったら、彼らもまだね、大きな企業になりきってなかったし、大きなマーケットシェアを獲れるような商品をまだ持ち切っていなかったので、日本企業の商品を一生懸命やってくれたんですよね。そういう時代に組んでいるところはある程度マーケットシェアがあったりする。ただ、この近年、10年とか15年の中でやっているようなところは、もう彼らにとっても欧米の大手の企業の商品の取扱高が2割3割ある中で、お金も出さないし、戦略も持ってないし、判断も遅いし、ちょっとダメだったらすぐ尻込みする日本企業ってもう分かっちゃっているのでね、彼らは理解しちゃっているので、日本企業はそうだと。NATOだと、「No Action Talk Only」みたいのが分かってしまっているので、その中で本気で彼らが投資するかと言うと、なかなか投資しなかったりするんですよね。なので、やっぱり自分主義というか、相手に任せても、性善説でうまく、万に1ついったら、それはそれでいいけども、多くの場合はいかないと。うまくいかなかったときに対策が打てないのがこの「パートナー頼り」。そして、だんだんパートナーとの関係が悪くなっていって、お互い必ずコンフリクトが生まれますからね、製造業と例えばディストリビューターと現地のパートナーというのは。その中で疑心暗鬼になってパートナーとの関係が良くなくなって、最終的にパートナーが悪いと、合弁解消みたいな、パートナー解消、ディストリビューター解約みたいなケースというのは非常に多いと。これはパートナーのせいになっているんですけど、日本側ではですね。でも、必ずしもそれってパートナーのせいなの?と、そうじゃないですよねと。そもそも戦略がなくて、何年に1回駐在員がころころ変わる中で、ずっと投資をし続けたものが途中で尻切れトンボになっているというケースもいっぱいあるので、パートナーとの契約後の過去何十年というものを紐解いていくと、必ずしもパートナーが悪いということではなかったりするケースが多かったので、これは1つ見る必要があるのかなと。

最後、「ヒト頼り」というのは、これは基本的には駐在員の力量に成果を委ねるという。かつての戦争のように兵隊を送り込んで、気合いと根性で頑張れと、本社に戦略はないと、走りながら考えろみたいなそういう話なんですけど。駐在員が走りながら考えられるのは戦術であって、戦略というものはやっぱり会社がしっかりと持ってないといけない。この戦略の部分がなくて、とにかくモノはいいんだからと、あとは現地で頑張れみたいな、そういう俗人的なやり方がなかなかここに来てもう通用しなくなってきた。かつて、中国がいなければ、日本のモノというのは欧米のモノよりも安く小さく良かったわけですから、これ、この考え方が通用したんですよね。ただ、今はそうじゃなくて、日本よりも安いモノ、日本よりも良いモノ、そういうものが出てきているわけなので、なかなかこういうマインドセットだと難しいと。俗人的じゃなくて、戦略的にいかに仕組みで回すかということを考えていかないといけないので、なかなか厳しいのかなということですね。

次のスライドをお願いします。これが最後のスライドですけども、戦略がないから別の何かに依存するということなんですよね。戦略があれば、別にモノに依存することも、パートナーに依存することも、ヒトに依存することもないわけですよ。なぜならば戦略を粛々と実行するということがプライオリティになりますから。ただ、戦略がないので、結局こういう依存になってしまう。

また話が長くなって恐縮なんですけど、なぜ戦略がないかと言うと、やっぱりね、インプットが少な過ぎるんですよね。日本企業は調査しなさ過ぎ。市場環境とか競争環境が分かっていない。インプットが少ないと、アウトプットも当然少ない。戦略ってアウトプットですから、情報をインプットして、それを分析して過去の知見とノウハウでそれを戦略的アウトプットに変えて。そして、その戦略を実行して得られる売上とか利益とかシェアがアウトカムになるので、一番最初のやっぱりインプットが少ないので戦略が出てこないというふうに非常に強く思います。ということで、この3つ、失敗する企業の共通点なので、皆さんぜひ気を付けてもらえればなというふうに思います。

今日も話が長くなってしまって申し訳ございません。今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん次回お会いいたしましょう。