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第426回 【本の解説】導入期の戦略が違う その4

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 私が去年、日本実業出版社から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日で最後かな。4回目、「2-5 導入期の戦略が違う」ということで、86ページからの話をしていきたいと思います。今までのおさらいをざっとすると、日本の消費財メーカーはなかなか導入期から抜け出せない企業って多いですよねという話をさせてもらっていて。なぜ抜け出せないかと言うと、伝統小売に手を付けないからですよというお話をしました。伝統小売に手を付けないと、導入期から成長期には絶対に行かないと。伝統小売に手をつけなくて成長期に行った消費財メーカーを僕は見たことがないし、そんな消費財メーカーは存在しない。だいたい成長期に行くということは、伝統小売がうまく伸びていっているという、そういう状況なんですね。なぜならば、前回とか前々回にもお話した通り、数の原理で圧倒的に伝統小売経由で売り上がる売上のほうがアジア新興国は多いから。新興国、アジアに限らず新興国は多いからであると。むしろ、伝統小売のほうが1個あたり、グラムあたりの単価は高く売れるので、実は面白い市場なんですよという話をさせてもらったと。あと、伝統小売というのは決して近代化をしていかないと。デジタル武装によって、これから今まで想定していた世界とは違う世界がそこには待っていて、伝統小売はデジタル武装することによって自分がどんどん伸びていくと。むしろコンビニのほうが衰退していく可能性すらあるんじゃないかという、そういうお話をちょっとさせてもらっていて。

じゃあ、具体的に今日は導入期から成長期に進むために欧米の先進的なグローバル企業が何をやっているのかというお話なんですが、スライド1、2、3、4、5枚目かな、5枚目のスライドをお願いします。上の絵が、導入期、成長期、成熟期、衰退期というふうにあるんですが、この導入期の線引きが違いますよと。導入期で先進的なグローバル企業が何をやっているか、成長期に行ける企業が何をやっているかと言うと、まず絶対にやるのは近代小売を獲るんですね。近代小売を獲らなかったら伝統小売は獲れないので、伝統小売のオーナーは近代小売で売れ筋になっているものを取り扱いたいということで近代小売を獲るんですけど。近代小売を獲るのに1年かからないんですよ。基本的にはリスティングフィーを払って本部商談をするというだけの話なので、本部商談をしっかりやって。本部商談のときにもね、本来ならば、あなたたち伝統小売どれぐらいやるんですかみたいな話もね、筋のいいバイヤーからはされるんですよね。伝統小売の計画みたいのを出していって、じゃあ、あなたたちの商品はいいねと、将来、可能性あるねということで本格的に取り扱ってくれるという、そんなケースもあるので。まあまあ、近代小売をやるときには伝統小売もやるという話は必要になってくるんですけども。

結局、下の図を見てもらったら分かると思うんですけど、間口シェアで言うと、間口というのは店舗数のことを間口、ストアカバレッジを僕は間口と言っていて、1間口あたりの売上というのが縦軸で、やるべきは、これ、間口シェアで言ったら圧倒的にTTなわけですよね。金額で言ったって、MT、近代小売というのは20%しかなくて、80%はね、アジア新興国、ASEANの80%はTTなので、この20%を獲っただけでは、どれだけ1店舗あたり、1間口あたり売上を高めても、これは黒字化しないんですよ。だから、導入期で鳴かず飛ばずでうだうだしちゃうというのが実態で。近代小売だけだったらどれだけ頑張ったって、前回か前々回かその前かなんかに数、ASEANの近代小売の数を出しましたけども、あの程度の数だったらどれだけ週販売ったって決して黒字化しないし、成長期に行けるような数じゃない。そうすると、やっぱりストアカバレッジを伸ばす、間口数を伸ばすということを絶対に近代小売を導入したと同時にやらないといけない。それをやりながら、1間口あたりの売上を上げていくということを同時にやるから、これはドミナントでやっていくわけですよね。近代小売の周辺TTから、伝統小売からやっていって、稀にね、地方から首都を攻めるなんていうこともあるんですけども、基本的には人口密度の高いところのほうが伝統小売の数も多いし、密接しているので、密集しているので、僕はそっちのほうがやりやすいと思っています。シェアの高い企業というのは、まず伝統小売も含めたストアカバレッジを獲るということをやっぱりやっているよねと。

最後のスライド、次のスライドをお願いしたいんですが。そうすると、具体的なTo Doって何?と言うと、都市別、エリア別、地区別にターゲット間口をしっかり設定しようねと。何年で何間口獲るの? 獲らなければいけないの? そうしないと成長期に入れないって、計算したら分かりますよね。80万間口あって、80万店あって、そのうちの例えば自分たちが菓子だったら、50万店は菓子が置けるような伝統小売です。そして、そのうちの30万店がメトロマニラに集中していますみたいな。そうすると、そこを獲っていくんですみたいなね。明確な間口目標を設定して、その実現方法を仮設定していく。そのときに初めてチャネルの力、だから僕はチャネルが重要だと言っているのはここなんですね。自社のセールスもそうだし、ディストリビューション・ネットワークを組んでいく。これが1社のディストリビューターだったらもうほぼほぼ無理で、やっぱりディストリビューションをネットワーク化していかないと、これはひどいですから、1社でサブディス使ってどこまでやるかというのもあるんですけど、ある程度、得意不得意の地域があるので、ディストリビューション・ネットワークをしっかりつくってかないといけない。こうしてストアカバレッジを上げていくということをやっぱりやっていかないと、なかなか難しいですよね。

強固なディストリビューション・チャネルのつくり方というのはこの本でも後半で解説をしているので、そこでまたやっていきますけど、今日はね、ちょっと概念的なところの話、ストアカバレッジを伸ばすためには販売チャネルが必要で。数ですからね、ストアカバレッジを伸ばすというのは。どれだけたくさんの店に訪問して置いてもらえるかということをやっていかないといけないので。そのためにはディストリビューション・チャネルが必要です。そこへの投資をしっかりやっているから成長期に入れるんですよという、そういうお話でした。

全4回にわたってね、非常に長いあれになっちゃいましたけども、今日でおしまいにしたいと思います。また次回、2-6からお話をしていきたいと思います。また次回お会いいたしましょう。