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第446回 「視点」が変われば指標も変わる

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に続いて、私が先日とある企業でやったクローズドのセミナーのお話をしたいと思います。

ちょっとね、シリーズでずっとやってきたんですけど、スライドをお願いします。こんな内容のセミナーをやっていて、ずっとこの第1章、第2章、「思考が戦略に与える影響」「「基準値」を持つことの重要性」みたいな話をずっとしてきていて、今日は「「視点」が変われば指標も変わる」ということでお話をしていきたいと思います。

次のスライドをお願いします。「視点」が変われば指標も変わるということなんですが、このちょっと写真を頭に記憶にちょっとインプットしていただいて、この「視点」がすごく重要なんですね。この手に取って地球をグーッと上から見る、周りで全体を見るということはすごく重要で。実は今、海外展開、ASEANも含めてですけども、新興国市場含めてね、世界どこでもいいですけども、海外展開をしている企業の中には、特に新興国市場においては、今ってグローバル・マーケティングが非常に重要な時代で、グローバル・マーケティングの時代というふうに言われている。一方で、グローバル・マーケティングの時代なのにもかかわらず、国際マーケティングの「視点」で戦っている企業ってすごく多くて。この国際マーケティングって1960年代にできた言葉で、実は古い昔の「視点」のまま現代のグローバルビジネスを戦ってしまっていて、それが結構日本企業のうまくいかない、非常に根底の部分にあるなというふうに私は思っていて。日本企業って別に戦略をつくるのが下手だとか、戦略性がないとか、そういうことではなくて、実は戦略そのものは長けていて、そうではなくて、そのもっと根底にある「視点」とか「概念」とか、そういったものが実は古いままの状態、間違っているとは言わない、かつてはその古い概念が最先端であり、正しいとされてきたので、決して間違っているとは言わないんだけども、今の時代には合っていないというのをすごく感じていて。その一番根底にあるのが「視点」で。「視点」って、「視点」が変わると景色が変わる。景色が変わると考え方も変わる。考え方が変わると行動が変わっていくので、全部が変わっていっちゃうんですよね。一番最初のこの物事を決めるものなんですよね。この「視点」がやっぱり古いままであるということを修正していかないといけないので、今日はその話をしたいと思います。

スライドをお願いします。「グローバル・マーケティングって何?」という、まず定義のところからお話をしたいんですが、グローバル・マーケティング研究の第一人者である明治大学の経営学部 大石先生、今年3月に退官、退職されましたけども、グローバル・マーケティングって多数、複数の国・地域で国境を越えて同時にかつ連関して意思決定しなければならないマーケティングのことを言っているわけなんですよね。「国際マーケティングって、じゃあ、一体何ですか」と、皆さん、聞いたことありますよね、国際マーケティング、たぶん大学の授業でも習ったんじゃないですかね。1960年代だと言われていて、この言葉自体が生まれたのは。当時は、自国と外国との間で行われるマーケティングとして国際マーケティングというワードが用いられていたと。インターナショナルですよね、国際と言うとね、日本語にすると、「国際的」とか「国際間の」と訳されるので、英語のインターやナショナルの意味から考えてもね、このインターナショナルというのはあくまで自国を中心として考えたときの他国との関わり合い方なんですよね。自分たちの国からいかに世界を見るかと、自分たちの国からいかにアジアを見るか、中国を見るかみたいな話で。一方でグローバルというのは、「地球全体の、世界的な」というふうに訳されていて、つまりは地球全体を1つとして物事を考える考え方なので、さっき見せた、もう1回出しますけども、この「視点」になるわけですよね。この図の「視点」になると。

次のスライドをお願いします。国際マーケティングとグローバル・マーケティング、それぞれ比較すると、国際マーケティングってインターナショナルで、国際的、国際間の、自国を中心として考える、自国と他国の2カ国、日本か海外かみたいな話。一方でグローバル・マーケティングというのはグローバルだし、地球全体の、世界的な、地球全体を1つとして考える、複数カ国、同時連関、日本か海外かの議論じゃない。日本から相手を見る「視点」って、やっぱり海外売上比率を気にするわけですよね。一方で常に地球全体を見ている「視点」って現地シェアを気にするわけですよね。

次のスライドをお願いします。だから、同じ海外販売が目的だったとしても、結局この2つの「視点」って指標がまったく変わってきちゃう。海外売上比率を気にしている人の指標というのはとにかく輸出なんだと。その輸出を上げるための選択肢はとにかく良いパートナーなんだ。一方で、現地シェアを上げようと思っている企業というのは、間口数と店頭シェアを上げなきゃだめだよねと。選択はマーケティング戦略でしょうと。これだけ指標や選択が変わってくると、もう戦っている次元が全然異なってきちゃいますよと。導入期は左でいいけども、やっぱり導入期から成長期に入るためには右に移行していかないといけないということをしっかりと認識をしないといけないと。「視点」というのは本当に重要なんですよというお話でございます。

このセミナーで話した内容、好評だったので、それを皆さんに番組を通じてシェアをしたシリーズでした。今日で最後になります。また次回から『グローバル・マーケティングの基本』の書の解説を進めていきたいと思います。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。