第461回 【本の解説】フレームワークは革新的な戦略のため その2
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が一昨年前に出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。前回3-14、155ページ、「フレームワークは革新的な戦略のために」ということで、少し長いエピソードになっちゃったんですけど、お話をして、大切なことが抜けていたので今日はその続きのお話をしたいなというふうに思うのですが…。
前回、戦略とは選択ですよというお話をしました。限られた経営資源の中でどういう選択をしていくのかということがそもそも戦略なんですよと。戦略というのは企業側によって同じ目的を達成する場合でも、企業側の経営資源の量とか質によって全然違う方法・手段を選択していかないといけないので、戦略というのは選択そのものなんだというお話をしていて。じゃあ、その正しい選択をするために、現状を可視化して、どういう選択をすればいいのかということを判断するために使うのがフレームワークなんですと。ことアジアを中心とした新興国市場に、アジアに別に限った話ではないですけど、新興国市場に限らず、特に新興国市場が僕は専門なので、新興国市場に展開をしていくときに、われわれが戦略策定で使うフレームワークというのは3つ4つぐらいしかなくて。1つが、全てのフレームワークの基本となるのが、マーケティングの基本プロセスですよね、「R」-「STP」-「MM」、これをしっかりやるということはすごく重要で。あと、3Cと、それから、4P・4Cですよね。ここと、あとわれわれ独自でSPYDERの6ステップ、戦略策定のための6ステップということで、6つのステップに切り分けてフレームワークをつくっていますけども。だいたいこの4つぐらいのフレームワークに今の現状を当てはめていくと、どういう選択肢をすべきかということが見えてきますよという話を前回していて。
1個お話をするのを忘れてしまったのが、戦略ってできる限り具体的にする、数字に落とし込むということが重要で、バイネームで数字に落とし込むということが重要で。なんとなくぼんやりみたいなのというのは、戦略としては非常に浅いので、実際に実践フィールドに出たときにあたふたしてしまうんですよね。机上の上ではぼんやりとした大枠でしか見ていなかったものを、戦場にいくともう現実がそこにパッと迫ってくるので。なので、実践に入るまでにどれだけ具体的にバイネームで数字で把握をしていくかということはすごく重要で。
スライドをお願いします。例えばB2Cで実際に市場を攻めていくときに、どのエリアからどう攻めたらいいの?都市別・区別にどこから攻めるの?それはなぜそうなのかというロジックを合わせていかないといけない。例えばベトナム、ホーチミンからやりましょうと、ホーチミンでも5区と何区から、4区から攻めていきましょう。それはなぜなんだっけ?そこの理由付けがしっかりしていないといけない。フィリピンだったらメトロマニラからやりましょう。メトロマニラでもこのエリアからやっていきましょう。それはなぜなんだっけ。その後のエリア拡大はどうするんですか、周辺地域への拡大ってどうするんですか、そもそも人口密度の多い都市から攻めるべきなんですか、それはなぜですかみたいなことを全部理論立てて組み立てていかないといけないんですよね。次にディストリビューター。じゃあ、どのディストリビューターでどういうふうに攻めるんですか、どのディストリビューターを活用しますか、なぜそのディストリビューターを選定したのですかと、ここもロジックがしっかりと紐付かないといけないし。そのディストリビューターとの戦略共有というのはどの程度できていますか、両者のKPIは何なのですか、共通のKPIを持てていますか。そして、3つ目が、どの小売を攻めるんですか、どう攻めるんですか。例えば、ベトナムだったら、ウィンマートをどうしますか。フィリピンだったら、ピュアゴールド、SMをどうしますか、ロビンソンズをどうしますか。MTに関して、どの小売のどの店舗を攻めるのか。段階的にどう拡大させるの?そのためのチーム編成はどうするんですか。TT、伝統小売はVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンは特に重要なわけですよね。新興国から切っても切り離せないのが伝統小売で。どのクラスの伝統小売を攻めるの?TT攻めるの?段階的にどう拡大させるの?チーム編成はどうするんですか、マイクロディストリビューションをつくるんですか、ディストリビューション・ネットワークどうするんですか、みたいなことを考えていかないといけない。こういうことを具体的に数字とバイネームで本当に具体的に挙げていく、時間軸を引いて。これは、1番と3番というのはターゲットの話なんですよね。小売もそうだし、エリアもそうだし、もう完全にターゲットの話で。2番が方法論なので。基本的には1番3番のターゲットが先にあって、そこに対してどう2番を当てていくのかということを順序としては考えていくと。こういうふうに落とし込んでいくと、かなり具体的な密度の高い戦略、参入戦略がつくれるので、ぜひこの3つをポイントとして覚えておいてください。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。