第499回 【本の解説】Q&A ケース2 伸び悩む海外売上を改善させたい
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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきます。もう少しですよね。今日は第6章、254ページのケース2のところのお話で、もう第6章の最後のケーススタディなので、いくつかケーススタディをやって終わりというところですかね。何個あるんだ、10個ケーススタディがあって、今日は2個目ですね、254ページ。まず、ケーススタディの設問を読みましょうかね。ケース2ということで「伸び悩む海外売上を改善させたい」ということで、これはね、大手の菓子メーカーさんからのケースですね。「早い国だと30年ほど前から国内の商社や問屋を活用し、また一部の国では現地のディストリビューターと直接取引をし、海外販売を行っています。ただ、この10年の傾向を見ると、一応は伸びていますが、成長が伸び悩んでいるように感じます。この伸び悩みを改善し、海外売上を拡大したいのですが、どうすれば良いでしょうか」ということで。日本の消費財メーカー、菓子メーカーじゃなくても食品メーカーでも飲料メーカーでもそうですけど、ASEANですかね、これはASEANということだと思いますけど、ASEANの市場に関しては、30~40年ぐらい前から取り組みはやっているんですよね、販売は。ただ、当時はやっぱり日本国内の市場が第一優先だし、その次の市場としては欧米という非常に大きな市場があって、30年40年前のASEAN市場なんていうのは本当に小さくて、シンガポールでちょろちょろ何か売れるかなというようなレベルだったので、基本的にはあまり本腰が入っていなかったと。その中でいわゆるディストリビューター側からのアプローチでちょろちょろ輸出を始めたというのはそんな経緯がずっとあるんですよね。長い企業で40年とかね、30年とか40年とか経って、それなりに売上は大きくなってきてはいるんだけども、菓子ということだと思うので、菓子だとおそらく1カ国、大きくなっても輸出で20億みたいなところが限界かなというふうに思います。10億とか20億とかそれぐらいが限界で。やっぱりそれ以上になってくると、現産現販をしていかないと、基本的に日本から輸出をすると、日本で200円で売っているものって運送費とか関税とか諸々入れると300円とか400円とかになるので、さらに高いからあまり数が売れないだろうということで、ディストリビューターもマージンを取るし、小売側もマージンを取っていくとどんどん、どんどん、高くなってしまうので、結局売れる売り場が決まってくると、駐在員とか外国人とかね、それから、本当に超富裕層が買うような小売のそういう輸入品専門の棚にしか置かれなくなってしまうので、20億ぐらいになるとやっぱり現産をして、アジアでASEANでつくったものをASEAN圏内で販売するという、こういう流れに変わってくるんですよね。
日本の大手の菓子とか食品メーカーだと、国によってまちまちでね、この国ではつくっているけど、この国では輸出でやっているみたいな、そんなのが混在していて。結局伸び悩んでいると。一応は伸びているので、対前年比に対してクリアしていきましょうねということで、ディストリビューターとやり取りをして、対前年比105%とか、そういう成長なんでしょうけども。どうやってこの伸び悩みを改善するのかということなんですけど、これってやっぱり今の実態を可視化するということをしっかりやらないといけなくて、市場環境、競争環境を含めて自分たちのディストリビューション・チャネルがどうなっているの?と、自分たちのディストリビューターがそもそも伸び悩んでいる要因がどこにあるのかですよね。市場環境というのは市場にあるのか、それとも競争環境にあるのか、競合が強いから伸び悩んでいるのか、それとも自分たちに要因があるのか、いわゆる自分たちの販売チャネル、ディストリビューション含めてね。それがどうなのかということをまず可視化をして、どこにボトルネックがあるのかを特定しないと、一概にディストリビューターに目標数値を掲げて押し込んでも、それは売上は伸びていかない。いわゆる気合いと根性で目標数値を押し込んでも、それは大きな伸びにはなってこないので、根本的なボトルネックがどこにあるのかということをまず特定する。そのためには調査をしっかりしないといけない。何をするかと言うと、市場環境と競争環境と自分たちの再評価ですよね。基準値をしっかり持たなきゃいけなくて。例えば120%成長するためには、どれだけのいわゆるケイパビリティが自分たちの販売チャネルに必要なのか、もしくはプロモーション施策に必要なのかという基準値をしっかり持たないと、闇雲に進んでいくことになるので、これは別に120%じゃなくても、シェアでもいいんですけどもね。例えば10%のシェアを獲るためにはこういうスキルセットが必要だという基準値をしっかりつかむということはすごく重要で、そこをやっぱりしっかりつかんでいきましょうねということを書いていると思います。
輸出は別に全然悪くないんですけど、輸出からね、もし本当にさっき言った通り、現産現販に切り替わるステージなんだとすると、もうもう輸出でいくらこれをやったって無理で、輸出でこれだけ売れているんだから、ある程度腹決めをして現産のステージに移行するということを考えないといけなかったりとかというステージかもしれないし、とにかく要因を特定するために調査をしっかりやるということが重要だというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。