第528回 アジア新興国 「視点」は全ての土台
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。前々回からお話している「思考」「基準値」、それから「視点」ということで、今日は「視点」のお話になります。「視点」は、日本の多くの製造業の戦略が非常に甘いというか、ぼわっとしているのは、実は戦略づくりが下手なのではなくて、「視点」が間違っているのではないというふうに僕は言っていて。今現在2023年って、もうここ10年ぐらい、グローバル・マーケティングの市場が、アジア、グローバルサウスを中心とした新興国市場でも起こっていて、基本的にはグローバル・マーケティングをやっているんですよね。一方で、多くの日本の製造業って、かつて70年代80年代90年代ぐらいまでよしとされてきた国際マーケティングの視点、この「視点」で実はずっとビジネスをやってしまっているんではないか、ではないかというか、そうなんですよね。そのため、なかなか戦略が現代のグローバル・マーケティングの視点に合ってこないし、組織の体制も、先進的なグローバル企業と言われるようなところからは何周回か遅れで進んでいる、そういう現状があって。「視点」のお話を過去10回ぐらいの中でやっていて、そのおさらいということで今日はやっていますけども。
「視点って、じゃあ、何が必要なの?」ということなんですけど、国際マーケティングとグローバル・マーケティングの大きな違いというのは、国際マーケティングというのはあくまで軸が自国なんですよね。自国と他国の関係なので、自国から見たときに他国をどうする、ああするという話なんですよね。一方で、グローバル・マーケティングというのは、自国からの「視点」ではなくて、一旦ふわっと大気圏に上がったときに、上空から地球全体を、丸い地球を見たときに、アジアパシフィックはこうだとか、北米はこうだとか、ヨーロッパはこうだと、こういう「視点」でマーケットを見ると。
例えば、ASEANの攻略とかで、今、ASEAN単国でやるなんていうのはナンセンスで、基本的にはASEANの中でも都市によって、1人あたりのGDPが高いところと低いところがあるので、都市別に見るという「視点」と、一方でASEAN全体を見るという「視点」、国ごとではなくて、私はむしろASEANの首都を線で結ぶという、それを面にして展開するみたいな「視点」が本当に重要で、日本から遠くのASEANを見てもね、これ、イメージしてください、実際、日本からASEANなんかを見たって絶対見えないので。ただ、イメージしても何も見えないんですよ。ぼやっとしている、ASEAN市場が。けど、1回上空に見て上からASEANを見たら、結構見えるわけですよね。だから、そういう「視点」でやらないと駄目なんだけども、残念ながら多くの日本企業はまだまだ国際マーケティングの「視点」になってしまっていて、そのことにも気付いていないというケースが、言われてはっと気付くみたいなケースが多くて。だから、結局、彼らの戦略を紐解いていくと、タイをやろうとか、ベトナムをやろうとか、インドネシアをやろうみたいな発想になってしまう。そうではなくて、今、ASEAN圏内が、法律的にも、税制的にも、一番重要なマーケットとしても、どういうふうにつながっているのかという「視点」が抜けてしまうんですよね。「タイだけ」みたいな。その「タイだけ」というのも、よくタイを考えると、タイではなくてバンコクなんですよね。バンコクが重要で、タイは全体としてはやっぱり全然戦略が、地方と首都とでは変わってくるので、タイを見ていると言っていながらバンコクしか見ていないとか、そういうケースになっているので、この「視点」ってすごく重要で。
「視点」が変わると、さっき言ったように景色が全然変わってくる。見える景色が変わると、人や企業の考え方や発想みたいなものっていうのは全部変わってくる。考え方が変わると、行動が変わってくるわけですよね。行動が変わると、結果が変わるということになるので、この「視点」は全ての土台だと思います。過去、前々回ぐらいから話している、「思考」「基準値」「視点」、「思考」を改め、「基準値」を持ち、「視点」を変えるというふうに、「視点」が最後になっていますけど、「視点」って土台なので、まず「視点」ありきなんですよね。「視点」が変わるから、「思考」も変わるし、だから、「基準値」が持てて、そしてその「基準値」を持った状態でアクションが取れるという、こういう構造になっているので、ぜひ「視点」を改めてもらいたいなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。