第530回 B2B 海外事業に成功する企業としない企業の差 その2
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、B2Bの製造業向けのお話をしていきたいと思います。B2Bの製造業、海外事業に成功する企業としない企業の差ということで、シリーズでお話をしております。前回ね、海外事業に成功しない企業って、3つの思考パターンにとらわれてしまっていますよというお話をしました。スライドをお願いします。この図の通り、1つがプロダクト依存型の思考パターン、そして、もう1つがパートナー依存型の思考パターン、そして、3つ目がパーソン依存型の思考パターンと、この3つの思考パターンにとらわれていると。前回、このプロダクト依存型の思考パターンがどういうものなのかということのお話をしたので、今日はこのパートナー依存型のお話、パートナー依存型の思考パターンというのがどういうことなのかということについてお話をしていきたいと思います。
次のスライドをお願いします。パートナー依存型の思考パターンということなんですが、日本企業が新興国市場に出ると、「誰に」売るかよりも、「誰と」売るかということに非常に神経が向いてしまって、もっとも重要な、「誰に」売るのかということが見失われる傾向が非常に多い。B2Bもそうなんですけど、とにかく大きなディストリビューター、パートナー、そういうところと一緒にやらないと駄目だということで、基本的には「誰に」売るということが最も重要にもかかわらず、「誰と」売るかにばっかり神経がいってしまっていて。「誰と」売るかなんていうのは、自分たちが売りたい相手に売れる相手と売るべきなんですよね。自分たちが売りたい相手に最も最短で効率良く売れる、利益率高く売れる、こういう相手を選ぶというのがベストなチョイスになってくるわけなので。そうすると、「誰に」売りたいのかがぼやっとしている企業は、結局のところ、「誰と」売るかに神経が向いて、この「誰と」の「誰」の定義も非常に不明確で、とにかく大きいところ、とにかく実績のあるところと。今の自分たちの現状のレベルから言ったら、そんな大き過ぎるところと付き合ってもあまりうまくいかないというケースもたくさんあるんですよね。海外展開、新興国展開の場合は。自分たちのステージに合わせてディストリビューターなんていうのは変えていかないといけないし、直販とディストリビューターをうまく組み合わせないといけないし。そうすると、必ずしも一番大きいところとか、大手のディストリビューターが良いとは限らない。ステージによってディストリビューター、1つのディストリビューターでずっと続くなんていうことはあり得ないし、基本的には特にB2B、1カ国1ディストリビューター制、1カ国1代理みたいなね、こういう発想が強く根付いていて、それが一番いいんだというふうに根拠なく信じている企業というのは非常に多い。でも、そうじゃないですよね。重要なのっていうのは「誰に」売るかなので、どの企業に売りたいんですかと、自分たちが売りたい企業を100社挙げてくださいと。じゃあ、その100社に売れる企業、ディストリビューターというのは誰なんですか。もしくは、その100社に最も効率良く売る方法ってどうなんですかというふうに考えると、じゃあ、この上位30社は自社でやりましょう。残りの70社を7割をディストリビューターを使いましょう。そのときに使うべきディストリビューターは、すでにこの7割の企業に口座を持っている、こういう部門の、こういうアカウントの、こういう人物に、ポジションの人に口座を持っている企業だよねということで「誰と」というものが選ばれていくわけなんですよね。
次のスライドをお願いします。特にB2Bの場合って、重要なのってB2Cだと基本的には首都なんですよね。ASEAN、新興国市場に行ったら首都が一番大きなマーケットなので、基本的には首都からやるということが重要で、顧客は首都にいるという、こういう展開。首都で流行ったものが地方に飛び火するので、基本的には首都狙いということになるんですが、B2Bの場合は基本的には産業集積地とインダストリーという、この軸が非常に重要で。自分たちがタイに出ると言っても、別にバンコクでビジネスをやるわけじゃないケースというのはあるわけですね。自分たちの産業がどこに集積されているの?どこに顧客がいるの?ということをやっぱりしっかり見る。もちろん首都であるケースもあるんですけども、本当にどこなの?と、産業、自分たちの産業が集積されているところってどこですかということを見ないといけない。工場が顧客のことだってあるわけですよね。オフィスが顧客だったら首都かもしれませんけど、工場が顧客の場合はやっぱり産業集積地になるし。
じゃあ、インダストリーってどうなの?と。自分たちのつくっているものってさまざまなインダストリーで使われているわけですよね。おおよそ3つ~4つぐらいのインダストリーで使われるようなものをどの企業もつくっているわけですよ。なぜならば、1個のインダストリーが駄目になったら、それはリスクなので、Aインダストリー、Bインダストリー、Cインダストリー、Dインダストリーと、いろんなインダストリーがあって、その中でも最も成功しやすい、風穴を突破させやすいインダストリーってどこなんですか、Bですか、Cですか、Dですか、Aですかと、Aですということであれば、このAを選ぶ。インダストリーによってディストリビューターって変わってくるので、Aのインダストリーに強いディストリビューター、Bのインダストリーに強いディストリビューター、いろいろなディストリビューターがいるわけですよね。そうすると、インダストリーに応じてディストリビューターを選ぶということがすごく重要で。パートナーに依存し過ぎない。これはパートナーに依存すると、成功するときはいいんですよね。ああ、良かったねと、万に1つ成功すれば、それでいいんですけども。じゃあ、失敗したときに、その失敗に対する対策が打てないのが最大のこの問題で。対策が打てないし、いわゆる学びがないわけですよね。だって、パートナーにほとんど委ねてしまう状態になるので。なので、自分たちがいかにマーケティングの活動に介在をして、ターゲットを明確に決めて、そのターゲットに売れる相手と売るというね、パートナーに依存しないということが非常に重要であるということでございます。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。