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第534回 B2B 「基準値」を持つことの重要性 その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、B2Bの製造業向けのお話をしていきたいと思います。

アジア、グローバルサウスを中心とした新興国市場における戦略策定においてB2Bが基準値を持つということ、B2Bの製造業が基準値を持つということは大変重要で、基準値とは何かということから、前回、前々回から話をしてきています。この基準値を持つために競合を可視化することがすごく重要ですよということを前回お話をして、今日は3つのポイントを可視化していきましょうねということで、ちょっとそれぞれをブレークダウンして説明をしていきたいと思います。

じゃあ、早速スライドをお願いします。B2Bの製造業、競合を可視化して基準値を掴むと。自分たちに何が足りていて、何が足りていないのか、その足りていないものを埋めていくことがシェアを上げる、売上を上げることにつながるので、競合を100とした場合に、自分たちが80なのか、70なのか、はたまた40なのか、30なのか、この差異で戦略って全然変わってくるわけですよね。差異が例えば100と30だったら70も差が開いているわけなので、やっぱりそれなりの時間軸を取りながら、段階的に戦略を強化していかないといけないし、8割9割までできているんだとしたら、1割2割の差を埋めるというのは比較的早くできることなので、そうやって戦略のトーンを変えていくということは重要で。じゃあ、その競合を可視化するときに、このスライドの通り、チャネル・ストラクチャーの可視化と、組織体制の可視化と、マネジメント体制の可視化ということをやっていかないといけない。

チャネル体制の可視化って何なの?ということなんですけども、これは全体のデザインなんですよね。シェア2割を上げられる販売チャネルになっているんですかと、分かりやすく言うと、シェア2割を獲るためには1,000社の顧客がないといけないのに、1,000社の顧客に水道管が届いていないよね。どんなにおいしい水を流したって、そもそも顧客に水道管が届いていなかったら蛇口ひねらないでしょうと。そうすると、当然、売上はいかないし、シェアいかないよねということになるわけなので。日本企業の製造業、B2Bの製造業の一番の弱さというのは、基本的に顧客確定で生産設備の移転をしてつくるという、一定時期のかつての海外展開では成果を上げられたんだけど、今の現地のマーケットでローカル企業に対して売上を上げていくとなってくると、やっぱりこのチャネルの全体のデザイン力が先進グローバル企業に比べると非常に遅れを取っていて、ここがやっぱりそもそもの設計、ここは設計なので、デザインなので、一番最初のところなので、ここを間違えたら、あとどれだけやったって難しいという話になるわけですよね。じゃあ、そのチャネル、設計の上で動く組織ってどういう組織なの?と、組織が強いか弱いかで、何がやれるかというのは決まってくるわけなので、どれだけ強い組織がマネジメント体制というのは、何をやっているから求めている結果が出るんですか、出ないんですか、ということなわけですよね。なので、競合のこの3つを可視化すると、ほぼほぼ競合の競争力というのは見えてくるわけですよね。自分たちのこれら3つと競合のこれら3つを比較していくと、自分たちには何が足りていて、何が足りていないのかということが見えてくる。

次のスライドをお願いします。例えばなんですけど、ディストリビューターの数と質で大きく劣っている。これはチャネル・ストラクチャーの可視化なんだけども。例えば、A社の場合、6社のディストリビューターで2万社の顧客、これね、製品によってこの辺って全然変わってきてしまうわけですよね。B2Bっていろんな商品があるので、B2Cの消費財とはまったく違うので。なので、われわれも多岐にわたった企業のかつて競合調査をやってきましたけども、本当に完成品をつくっている企業から、ネジ1個の部品をつくっている企業まで、そうすると、6社で2万社の顧客を持てるところから持てないところまで、いろいろあるわけですよ、設備もね。なので、自分たちの事業にあてはめて聞いてもらって、この辺の数字の割合が変だ、変じゃないというのは個々の何を売っているかによって変わってくるので、あてはめて聞いてもらったらいいと思うんですけど。6社のディストリビューターで2万社の顧客、これは1社あたりの顧客は3,333社で、これでシェア2割獲っているわけですよね。そうすると、基本的にはこういうチャネル・ストラクチャーのデザインをしないと駄目なわけですよ。だいたいこの先進グローバル企業がこういう今の最終的なストラクチャーになるために、いろんな失敗をしてきているんですよね、彼らは、早くから進出しているので。その集大成が今なので、相当なことがない限り、これ以上のウルトラCを出すというのはなかなか難しくて。やっぱりフォロワーの戦略じゃないですけども、今、最も成功している企業のやってきたこと、やっていることをフォローしていく、そこから独自性を見いだしていくということはすごく重要なので、最初から独自性で打ち負かすなんて、そんなことができたら端からA社はやっているでしょうという話になるので、やっぱり僕は、そこはフォローしていくということが現実的だと思います。それに対して、やっぱりシェアの低い企業というのは、1社のディストリビューターで1,000社の顧客、1社あたりの顧客は1,000社で、当然、シェアは1%以下みたいな話になっちゃうわけですよね。だから、そもそものチャネル・ストラクチャーを見ただけで、これはもう全然競争力が違うじゃないということが明確になる。これを自社の現状と比較分析することで、基準値、「あ、やっぱり6社は必要なんだよね。2万社の顧客をやっぱり獲らないといけないんだよね。1社あたり3,333社をやれているのに、1社で1,000社しかお客さんがいない。こんなディストリビューターと付き合っていたら駄目じゃん」ということになるわけなんですよね。

次のスライドをお願いします。組織体制とマネジメント体制に関しては、じゃあ、その選んだディストリビューターが、どういう組織を皆さんの会社のためにつくってくれているの?その組織はどういうふうな人たちが、どういうふうにマネジメントしているんですかということをしっかり把握しないといけない。じゃあ、大手の良いディストリビューターと組めた、「やったー」で終わっていたら駄目で、組めたんだけど、大手ということは、自分たちよりも必ずより重要な顧客がいるわけですよね。そうすると、そっちに優秀なチーム、組織というのはあてがわれている。そうすると、組んでもらったはいいんだけども、あまり良い組織になっていなかったりするケースというのは少なくない、多々見られる。そうすると、どういう統括部長のもとで、どういうエリアマネジャーが何人配置されて、専任者がどうなっているのかということを見ないといけないし、じゃあ、彼らがね、担当だけ一応決めているんですと。数だけいるんだけども、日々、じゃあ、何をやっている?、いや、大してやっていない、他の顧客の商品を売るときのついでで営業していますみたいなケースだってあるわけですよね。既存顧客のフォロー、新規顧客の対応、どうしているのかという、具体的な彼らのマネジメント体制、活動内容をしっかり見ていくということがすごく重要で、これがシェア2割をつくる基準値になるわけです。競合がどうやっているか。ここまでやらないとシェア2割というのはできないんだねと。ディストリビューターとの、6社のディストリビューターが1社あたり3,333顧客を持って、こういう組織をつくって、こういう活動をしているから2割になるんだということになるので。ここまでブレークダウンしてやらないと、基本的には競争力を上げていくなんていうことはできないし、シェアを具体的に追っていくということもなかなか難しいということになります。従って、競合を可視化していくということは、B2Bの製造業にとっては非常に重要です。自分たちが基準値を掴んで、その基準値でシェアを上げていくということをぜひ試していただければと思います。

皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。