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第90回 海外販売 − 各レイヤーの役割

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皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、海外販売における各レイヤーが抱える課題についてお話をします。海外で消費財メーカーが自分たちの商品を販売する上で、日本の本社から海外の消費者まで、商品が手に届くまでにはさまざまなレイヤーが間に存在をしている。それぞれのレイヤーが抱える課題、クリアすべき課題とは一体どういうものなのか。それを今日は全体的に見ていきたいと思います。
まず最初に海外販売のストラクチャーなんですが、皆さん消費財メーカーが、日本の本社があって、日本には当然工場がある。日本国内のビジネスをしてる分には、ここだけで完結をしている。ただこれがアジア新興国を中心とした海外に販売をするとなると、輸出入商社を使って、海外の近代小売りや、ほとんど伝統小売りに入ることはないと思うんですが、一応伝統小売りがあり、そして食品などのメーカーの場合は、食品サービスということで、ホレカ、ホテル・レストラン・カフェなどの事業者などにも商品を販売していく。そしてそれが消費者に最終的にわたるという、こういうレイヤーで商売をやってきたと。これはもともと日本のメーカーが何十年も前に、輸出入商社を使ってこういうことをやる。そのうち自分たちの会社に輸出貿易部みたいなのが出てきて、自分たちで輸出入をやったり、ということも今では多いんじゃないかと。さらに海外販売が進化して、自分たちで現地の法人を持つようになったと。タイに現法をつくりました。インドネシアに現法をつくりました。マレーシアに現法をつくりました。フィリピンに現法をつくりました。ASEANの場合、そうやって現地法人をつくって積極的に販売をしていく。
現地法人をつくっているような会社は、大体ASEANにも現地の生産工場をつくっているという企業が多くて、また複数の国に複数の現地法人を持つようになってくると、地域統括会社というのを、シンガポール辺りに、英語ではリージョナル・ヘッドクオーターといいますが、そういったものをつくって、いわゆる地域統括をしていく、ということをやった。自分たちでディストリビューターと契約をして、そのディストリビューターはまた、サブディストリビューターみたいなところを何社も使って、近代小売りや伝統小売り、食品サービス、ホレカを通じて、消費者に商品を売っていく、というのが現在の販売ストラクチャーなのかなと。中堅の、まだ海外に慣れてないような企業というのは、輸出入商社を使って輸出ビジネスをやっているし、ある程度規模のあるような大手の食品メーカーは、もうこちらのビジネスをやっている。ただ、なかなか販売チャネルの構築という部分では不得意なので、ディストリビューター任せになってしまっている、というところが多いんじゃないかなと。
それぞれの課題ですが、工場と本社に対しては特に、これは国内で完結している問題なので課題はない、ということにしますと、地域統括会社。各国の事業の統括がうまくいかない、であったり、世界標準化と現地適合化の切り分けができない。優秀な統括マネージャー不足ということで、多くの日本の消費財メーカーのシンガポールの地域統括会社って、地域統括会社の意味を成していない。これは会計上や税務上、メリットは出ているものの、オペレーション上、なかなか地域統括としての意味を成していない。どちらかというと現法と本社の間をとりもつんだけど、べつに現法も直接本社に話はできるし、なんのために地域統括会社は存在しているのかと。現法ほど現地のことは分かっていないし、かといって本社側でもない、という非常に中途半端な状態になっている例もよく見られます。
現地の販売会社。これは日本人駐在員のノウハウが不足している割にコストが高い。基本的に日本人送ったら、何千万なわけです、年間。の割にノウハウがない。優秀な現地スタッフの採用が難しい。駐在する日本人のレベルが低ければ、そこで採用できる現地スタッフのレベルはさらに低いわけで、なかなかそのチャネル構築をするというノウハウは、いきなり国内でやってた人間を現地に送ってもないのは当たり前で、欧米の先進的なグローバル消費財メーカー、現法に白人いません。最初の数年で事業をバーンと立ち上げたら、あとは現地の人でそれを回していく。それをリージョナル・ヘッドクオーターや本国からオペレーションを管理する。何か間違った動きが出たときに、すぐに修正ができるような状態にして、仕組みをつくっていくというのはうまいわけです。一方で日本の場合、現地の人たちに任せようものなら、好き勝手やられて、不正の温床みたいになってしまうケースがよくあるわけなんですけど、そこが欧米と日系の最大の違い。彼らは仕組みをつくって、それを管理をしていく。不正が起こせないような仕組みをしっかり構築する、というのがうまい。
ディストリビューター。ここはチャネルデザインが描けない。ディストリビューターの選定。ネットワーク化が困難。ディストリビューターの管理、育成ノウハウ。日本企業はどの企業に行っても、1カ国1ディストリビューター制みたいなことやってるんですが、TTがやっぱり多い新興国では、1カ国1ディストリビューター制はなかなか難しくて、ディストリビューション・ネットワークをどうデザインして組んでいくか、ということはすごく重要。ただチャネル構築のノウハウがないので、結局10年前、15年前、20年前に付き合ったディストリビューターとずっと同じことをやっていて、なかなか売り上げが伸びない、そういうケースが多いと思います。
このサブディストリビューターのレイヤーも一緒です。そもそもサブディスのレイヤーになると、日本の消費財メーカー、もう実態がつかめていない、という状況だと思います。小売りに関しては、導入戦略が描けない。小売りの実態が見えていない、MTなんかとの強固な関係を直接築いてる、というメーカーはごくごく限られちゃうし、TTへの配架が進まないというのもそうだし、ホレカに強くないディストリビューターを使ってホレカに配架しているという例も多く見受けられるので、この辺の実態もなかなか見えてない。ここから先が見えにくくなってるんですよね。
消費者調査だけはやるので、バイアスのかかった現地のアジアの消費者のデータだけはあるんですが、やっぱり究極、いくらASEANで消費者調査やってもバイアスかかり過ぎちゃってて、4Aが全く理解してないという消費財メーカー、非常に多いと思います。消費者にとってのアクセシビリティとか、アフォーダビリティ、アウェアネスの理解不足というのが多いんじゃないかなと。4Aを理解をするということは、大変重要だと思います。
それでは皆さん、また次回お会いしましょう。