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第92回 チャネル構築に必要な3つの要素

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、チャネル構築に必要な三つの要素についてお話をします。チャネル構築に必要な三つの要素は、アジア新興国市場で強固なチャネルをつくる上で大変重要です。多くの日本の消費財メーカーは、もので勝ってチャネルで負けるというような現状で、なかなか現地で高いマーケットシェアを得られていない。その要因はチャネルを構築するために必要な三つの要素に対する理解がないから。チャネル構築が下手だからだと言わざるを得ません。今日はこのチャネル構築に必要な三つの要素について、一緒に学んでいきましょう。
まず最初に申し上げたいのは、強固なチャネルなくして、アジア新興国でものを売っていくということはできません。どんなにいい商品を開発しても、チャネルがなければものは売れない。チャネルをいかに強固につくりあげていくか、ということが大変重要になる。今、アジア新興国で高いマーケットシェアを持っている、欧米の先進的なグローバル消費財メーカー、P&G、ユニリーバ、ネスレは、ものはさることながら、大変強固なチャネルを15年、20年かけてつくってきた。コカ・コーラなどは、まさにその最たるもので、世界中に強固なチャネルをつくってきている。日本はこのチャネル構築を軽視してきたという過去の歴史は否めません。ずっと国内外の輸出入業者に全てを丸投げし港から港のビジネスをしてきた。輸出のビジネスなんていうのは、グローバルビジネスとは呼べないので、単に港から港へ商品を移動させてるだけ。相手の国の港からその先のことは一切無視よと。一方でチャネルビジネスというのは、相手の港の先、どのような中間流通事業者を通じて、どのような小売りに、どのように皆さんの商品が置かれ、どのような消費者が何を思ってそれを手に取って買ったのか、買っていないのか、はたまたリピートしたのかを管理をしていくというのがチャネルビジネス。
そしてそのチャネルをつくるための三つの重要な要素。一つ目はデザイン、二つ目がマネジメント、三つ目がコミュニケーションです。デザインというのは、適切なディストリビューション・ネットワークの設計なわけです。まずビルを造るときに、当然設計を描くのと一緒で、チャネルをつくるときにはチャネルのデザインをしっかり設計しないといけない。皆さんの事業計画が3年でいくら、5年でいくら、10年でいくらという計画に基づいて、どのようなチャネルをつくるのか。ビルを建てるときに、50階建てを建てたいのか、100階建てを建てたいのか、120階建てを建てたいのかによって、皆さんの設計図が変わってくるのと一緒で、何階のビルを建てたいのか、いくらの売り上げをやりたいのかによって、チャネルというのは全然変わってくるわけです。チャネルを水道管に例えると、皆さんの商品を水に例えると、それを流すための水道管なわけです。その水道管がしっかりと消費者に届いてなければ、皆さんの生産する水というのは絶対流れないので、その水道管を張り巡らせるということがデザインであると。
2番目のマネジメントというのは、ネットワーク化したディストリビューターの管理育成なんですが、複数のディストリビューターをアジア新興国では使わないと、伝統小売りが数十万、数百万あるので絶対に消費者に商品が届かない。そうなってくると、ディストリビューターをたくさん使ってマネジメントするということが必要。ディストリビューターを水道管に例えてますから、アジア新興国の水道管は日本の水道管と違ってよくさびます。穴も開きます。詰まります。それをどうやってマネジメントしていくか。ディストリビューターの管理育成が本当に重要。先進的なグローバル消費財メーカー、P&G、ユニリーバなどは自分たちの社員をディストリビューターに派遣して、そこで教育をしてきたわけです。ASEANの国々に行くと、長くても華僑がやってるディストリビューターというのは、大体20年、25年の歴史、社歴しかありません。そのオーナーたちはみんな口をそろえて、私たちはコカ・コーラに育てられた、P&Gに育てられた、ユニリーバに育てられた、ということを言います。日本のどこどこに育てられた、なんて言うディストリビューターは一切いません。日本はディストリビューターに任せたら、自分たちつくるのが役割、あなたたち売る人ね、のノリで全てを丸投げしてしまうわけなんですが、それではアジア新興国では商品は売れない。いかにマネジメントしていくか、ということが重要。
三つ目のコミュニケーションですが、マネジメントされるということは、通常以上にコミュニケーションをとっていかないと、マネジメントする側も大変かもしれないけど、される側も大変なわけです。そうすると、ディストリビューターとのコミュニケーションをしっかりとっていくということは、すごく重要。年に数回の定期訪問で、ウェルカム!と言われて、会食を用意されて、うわーっとやってるから、私たち、アジアのディストリビューターと関係しっかりできてるんですって、そんなの表向きの話で、本当の意味でどこまで握れているか、というのはしっかりやっていくというのがコミュニケーションで、年に数回会って乾杯!でコミュニケーションとれてますからって、そういう次元ではないコミュニケーションをとっていく。もちろん小売りとのコミュニケーションもそうだし、一番重要な消費者とのコミュニケーションをどうやってとっていくんだ。このコミュニケーションがなければ、せっかく水道管をデザインして、水道管を引きまくって、消費者に水道管が届いたのに、消費者は蛇口をひねらない。つまりは皆さんの商品である水は消費者の口には運ばれない、ということにつながるので、どれだけコミュニケーションをとっていくかということが、すごく重要。
強固なチャネルをつくるというのは、デザイン、マネジメント、コミュニケーションという大枠の中でつくっていく。私たちがチャネルを構築する際、全てこの三つの大枠の中に、細かなスキルやノウハウがいっぱいあるんですが、そんなことをやっていく。この三つの大枠というのは非常に重要で、一番重要なのはこのデザインだと思います。日本の企業は、このデザインで間違えちゃうと、あといくらやっても、最初のデザインが間違ってるので、100階建てを建てようと思ってるのに、10階建てのデザインしちゃったら、いつまでたっても100階建ては建たないのと一緒で、このデザインというのが最初のボタンの掛け違えというのは、非常に重要だと思います。
それでは皆さん、また次回お会いしましょう。